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既視感のある店構えや品揃えからスタートした「メイソウ」。だが、商品もビジネスモデルも、将来を見据え変化を続けている。


中国発のディスカウント雑貨販売の「名創優品(MINISO、メイソウ)」の創業者、葉国富(イエ・グオフー 44)は、コロナ以前の時代であれば有望な市場を求めて何カ月もかけて世界中を見て回っていただろう。いま、パンデミックのせいで海外視察には出かけられないが、だからと言って海外展開をねらう葉の計画がぶれることはない。

広州にある本社での対面取材で、葉は言った。

「メイソウは成長の道を探り続けていますし、この先、長く発展していくと確信しています」

ニューヨーク証券取引所で上場を果たしたメイソウは着々と事業拡大を続けている。2020年は従来型の小売店がパンデミックで大きな打撃を受けたが、2ドル(約220円)のマスカラや6ドルのヘッドホンなど、安価ながらデザイン性の高いグッズを扱うメイソウは9月までの12カ月間に、北欧初の店舗をはじめ400店以上をオープンした。現在、全世界の店舗数は4330店。そのうち約60%は中国国内、残りは80の国や地域に広がっている。整然とした商品の陳列方法が特徴で、日本の「無印良品」や「ユニクロ」とそっくりの店構えだ。

メイソウの株式保有で66億ドル相当の個人資産を有する葉は、今年中に国外でさらに出店しようと準備を進めている。昨年、一時的な閉店や営業時間短縮を強いられたため、第3四半期の売り上げは前年比30%減の3億500万ドルまで落ち込んだが、同社の低価格商品に対する需要は必ず回復すると彼はみている。ワクチン接種が始まり、外出制限が緩和されれば買い物客は戻るだろうし、世界的な景気低迷で価格に敏感になった消費者は、品質が高く、低価格の商品を求めるはずだ。

葉によれば、この傾向は中国ですでに始まっており、メイソウ各店舗では売り上げも来店者数もパンデミック以前の水準近くまで回復している。中国国家統計局によると、20年第4四半期の小売業全体の売り上げは前年比5%増。同社は、21年第1四半期の売り上げは約23億元(3億5500万ドル)になる見込みだという。

葉は、国際市場の先行きについても楽観的だ。貸店舗の空室が増え賃料が下がった現在は、同社とフランチャイズ加盟店にとって新たな賃貸契約を結ぶ絶好の機会であり、潜在的リスクをしのぐ成長が見込める。各国のフランチャイズ加盟店と協力して新店舗の物件を探し、パンデミックによる同社商品需要への影響を見極める一方で、政府による規制への対応を進めている。同社にとっての「ニュー・ノーマル」はすでに始まっているのだ。20年12月には、アイスランド第1号店をオープンした。アイスランドにはこれまで類似のビジネスモデルの店がなかったことから、いまのところ売り上げは上々だ。

上海に本社を置くコンサルタント会社「カンター・ワールドパネル」のマネジング・ディレクター、ジェイソン・ユーは、メイソウには他社にないチャンスが開けていると指摘する。

「多くの企業がリスクを嫌って事業拡大を控える傾向にあり、いまは一等地の商業用不動産を確保するチャンスです。メイソウの価格戦略も、所得が減った消費者には歓迎されるでしょう」

メイソウは20年10月のニューヨーク証券取引所でのIPO(新規株式公開)で6億800万ドルを調達し、時価総額は約100億ドルに上った。

葉は、すでに大規模な顧客基盤を確保済みの米国、インド、インドネシア、ラテンアメリカでの長期的成長には特に期待がもてると話す。

文=ユエ・ワン 編集=森 裕子

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