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2021.08.05 07:30

あだ名は「開店狂魔」 コロナ禍でも世界展開のメイソウの秘密


コンサルタント会社「オリバー・ワイマン」のパートナーで香港を拠点とするペドロ・イップは、メイソウの次の課題は地域の需要に合った商品の提供だと指摘する。

「彼らはまだグローバル化の初期段階にあります。将来的な課題の一つとして、各市場に合った商品を揃えることが挙げられます。今は、国外と中国国内の品揃えに大きな違いはありません」

葉はプロダクト・デザインに注意を払っており、部下が提案する週に約100点の新商品プランの採用の可否は自身で決め、商品の機能開発にもかかわっている。最新の購買トレンドのチェックも欠かさず、ブラインドボックスに入った収集用フィギュアが中国で大ヒットすると、おもちゃ専門店を開業するため、1年かけてデザイナーを採用して準備。昨年12月には漫画キャラクターのフィギュアを販売する「トップトイ」を広州にオープンした。コンセプトは「伝統的なおもちゃに対する革命」だ。

メイソウはオンライン事業でも、中国と国外の両方で拡大を続ける計画だ。国内では「アリババ」のECサイト「Tモール」に出店しており、中国国外では「アマゾン」「ラザダ」「ショッピー」で商品を販売。パンデミックでオンライン販売へのシフトが加速し、20年の第3四半期には、売り上げに占める割合が前年同期の2%以下から5%にまで伸びた。

葉は、競合他社のことは気にかけていない。

「現時点では明らかなライバルは見当たりません。わが社はウォルマートより規模が小さいし、もっと若い消費者をターゲットにしています。まったく新しいタイプのビジネスなんです」

Miniso 名創優品 メイソウ◎2013年、葉国富が創業。訪日した際に訪れた無印良品やユニクロからヒントを得て、日本人プロダクト・デザイナーを招いて立ち上げた。14年には日本などにも出店。大部分はフランチャイズ契約で、北欧アイスランドを含む世界の80の国と地域で4,330店舗を展開する。2020年10月には米国でIPOを実施。

葉国富 Ye Guofu イエ・グオフー◎1977年、中国湖北省十堰市生まれ。メイソウの共同創業者兼CEO。大学卒業後に広東省に移り、鉄工所の営業職からキャリアをスタート。2004年に「アイヤヤ」という10元未満の商品のみを扱うディスカウント・ショップを始め、2013年に「メイソウ」を、2020年12月にはおもちゃ販売の「トップトイ」を創業。

文=ユエ・ワン 編集=森 裕子

この記事は 「Forbes JAPAN No.082 2021年6月号(2021/4/24発売)」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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