カルボネルは先週インスタグラムに投稿した動画で、母乳育児中の五輪選手が直面している障害について苦言を呈した。カルボネルによると、間もなく1歳になる息子のカイに五輪期間中も授乳を続けるためには、カイは3週間の東京滞在中ずっとホテルの部屋にとどまる必要があった。だが、ホテルが選手村からどれくらい離れているのかは現地に着くまで分からなかったという。
さらに、チームの健康についても懸念があった。日中、カイに授乳が必要になるたびにホテルに向かえば、周囲から隔離されている選手村を出ることになり、「チームの健康を害する恐れがあった」とカルボネルは語る。
カルボネルは「こうした条件は個人的に受け入れられない」ため、会期中は搾乳器を使うことにしたと説明している。授乳と仕事の両立に悩む彼女の姿には、育児をしながら働く女性の多くが共感するはずだ。
授乳には女性と子どもの両方にとって健康面で多くの利点があり、世界保健機関(WHO)のガイドラインでは2歳まで母乳育児を続けることを奨励している。米国では、従業員が搾乳する必要がある場合、子どもが1歳になるまでは雇用主が搾乳に必要な休憩時間とそのための適切な場所を与えることが連邦法で定められている。
だがこうした規制にかかわらず、多くの女性はカルボネルと同じ現実に直面し、キャリアと授乳の二者択一を迫られていると感じている。カナダで行われた調査では、女性が授乳をやめた理由の20%が職場や学業への復帰だった。
仕事での搾乳を支援する規制は確かに重要だが、実際に最適な形で施行されているとは言い難い。授乳中の従業員は、何度も休憩を取らなければいけないことを煙たがれたり、同僚からからかわれたりしたというスティグマ(負の烙印)を背負っており、雇用主からのサポートも不足していたと報告している。