米紙ワシントン・ポストは、シリコンバレーのテック系スタートアップで働いていたある女性の次のような体験談を報じている。「私が搾乳に向かうとき、会社の最高経営責任者(CEO)は皆が聞こえるように『搾れ、搾れ、搾り出せ!』と歌った」。また、搾乳のため会議を抜けることが許されず、シャツから母乳がにじみ出てしまったこともあったという。この女性は最終的にこの会社を退職した。
カルボネルは、スペイン帰国時に息子のカイが以前と同じく母乳を直接飲んでくれることを願っている。この問題について声を上げたのは、この問題への意識を高めるためだった。「この動画や、同じ問題に悩む選手全員が、今は普通ではないとされるこの状況を普通のことにする一助となることを願っている」とカルボネルは語る。
全ての哺乳類が行う授乳という行動を普通のことにしなければならないというのは、いささか皮肉だ。だがカルボネルは正しい。母乳育児を行う女性にキャリアを追求してほしければ、授乳につきまとうスティグマをなくすしかない。
世界が注目する五輪は、この一般的行動を普通なことにするのに最高の機会だったはずだ。もし授乳をするのが女性ではなく男性選手だったとしたら、東京にはどのような設備が準備されていたかは、想像しかできない。