別の研究チームが行った研究では、人間の男性は特定の形をした女性の腰に魅力を感じるよう進化しており、ハイヒールを履くことでこうした理想的な腰の曲線がつくられるのだとされた。
人類が二足歩行を始めたころ、腰の方に重心がない女性は、妊娠時に問題が生じていたとみられる。こうした女性が妊娠中に経験したであろう筋肉疲労や痛みは、胎児と新生児の両方の栄養摂取に影響したと思われる。このことから、特定の腰の曲線を持たない女性は母親としての魅力に欠けるとみなされるようになった。結果、特定の腰の曲線を持つ女性が好まれる傾向が生まれた、というのがこの仮説だ。
研究チームは、ハイヒールを履いた女性が魅力的とされるのは、この特定の腰の曲線が好まれることが理由だと指摘。その根拠として、ハイヒールが女性の魅力を高めるのは、履いた時の腰の曲線が理想的な形に近くなった時のみであることを示した。
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さらに別の研究では、「ハイヒールは、女性が性的シグナルを伝達するための一つの方法とみられる」とされた。
こちらの研究では女性の被験者に、魅力的な男性とそうではない男性どちらか一方の写真を見せて、この男性とデートに出掛けるならどの靴を履いて行くかを答えてもらったところ、魅力的な男性の写真を見た被験者は圧倒的多数がハイヒールを選んだ。また、背の低い女性がハイヒールを履くことで自分の脚を長く見せて、身体的な魅力を高めようとする場合もあるとも指摘された。
女性がハイヒールを履く理由についてのこれらの仮説は、どれが最も正確かどうかにかかわらず、全てに共通することとして、性的魅力を高めるためという点がある。ウクライナ軍の話に戻ると、女性兵にハイヒールの着用を強制することは、パレード見学に集まった男性に対して性的魅力をアピールしろと命じるのと同じことだ。「より快適」なハイヒールが用意されることがせめてもの救いだろうか。