ザトリンは、サンフランシスコ本拠のクラウドフレアのプレジデントとCOOを務め、同社の株式の約5%を所有している。共同創業者でCEOのマシュー・プリンスは同社の13%の株式を保有し、昨年5月に保有資産が10億ドルを突破したが、ザトリンはプリンスに続く、クラウドフレアで2番目のビリオネアとなった。
クラウドフレアは、400万人以上の顧客のウェブサイトを、DDoS攻撃などのセキュリティ上の脅威から保護している。同社は、1日あたり700億件のサイバー攻撃を阻止していると述べている。
2019年9月の上場当時に18ドルだったクラウドフレアの株価は、パンデミックの追い風を受けてIPO価格から約500%の上昇となっている。2019年に2億8700万ドルだった同社の売上は、2020年に4億3100万ドルに増加した。しかし、純損失も前年の1億600万ドルから2020年には1億1900万ドルに増加していた。
クラウドフレアは、ハーバード・ビジネス・スクールで出会ったプリンスとザトリン、そしてリードエンジニアのリー・ホロウェイらによって2009年に設立された。ホロウェイは、2016年に難病の前頭側頭型認知症と診断され、同社を退社していた。
クラウドフレアの顧客には、極右系サイトのThe Daily Stormerや掲示板の8chanなどの物議を醸すサイトが含まれており、その件で批判を浴びていた。同社は、これらの顧客へのサービス提供を、言論の自由に基づくものと説明していたが、2019年8月にテキサス州エルパソで発生した銃乱射事件の犯人が8chanに犯行声明を投稿していたことを受けて、8chanへのサービス提供を終了していた。
クラウドフレアは昨年、選挙関連のサイトに無料サービスを提供したほか、ワクチン接種を支援するツールを無償提供した。同社はまた、中国のEコマース大手JD.comの子会社であるJD Cloud & AIと提携し、中国全土で150のデータセンターを運用・サポートすることを発表していた。