これは、世界中の人々がスポーツに対して感じる魅力やその意義を説明しようと試みた書籍『The Meaning of Sport(スポーツの意義)』の執筆者、サイモン・バーンズの印象的な言葉だ。
バーンズの言葉は、大半のスポーツは大部分で似通っているものの、個人がそれぞれの分野やイベントに置く価値は各自の好みに基づく完全に主観的なものだということを示している。スポーツにはこうした類似点があるにもかかわらず、ある特定のスポーツのファンはその他のスポーツを劣ったものと考えるかもしれない。
観戦するスポーツによって、視聴者の間で引き起こされる感情が異なるというのは本当だ。英地上波デジタルテレビ「Freeview」が委託した新たな調査は、人工知能(AI)を活用して異なるスポーツを観戦したときの感情を見極め、この議論の客観的な分析を試みた。
感情認識AIは、人事や医療、マーケティングなど複数の業界で消費者の感情分布に関する情報を得るため使用されてきたものだ。同様のデータはもちろん調査を通して集めることもできるが、企業はAIを活用することで、参加者自身さえ知らないような追加情報を得ることができる。
観戦で幸福度が高いスポーツ、緊張感が高いスポーツ
同調査では、顔の表情を追跡・分析し、目や眉、鼻、口の変化に合わせて人間の異なる感情を分類する英AI企業リアルアイズ(Realeyes)の感情認識ソフトウエアが使用された。この技術では、コンピュータービジョンと機械学習の技術を通して最も微妙な表情の変化さえ検知し、対象者が感じた感情を分類できる。
同調査によると自宅で観戦して最も「幸福感を感じられる」スポーツはテニスで、観戦していた人は強い幸福感を味わっていたことが示された。テニスを観戦する人は、標準的な動画コンテンツを鑑賞したときと比べて幸福度が50%高かった。
一方、乗馬やシンクロナイズドスイミング、体操など、より穏やかでルーティンに基づいたスポーツは最も緊張感が高かった。
フォーミュラ1は最も衝撃的なスポーツだった。高速でレースが行われ、大きな衝突も起きる可能性があることを考えれば意外ではない。研究者らは、突然目を見開く動作や口をあんぐり開ける動作などを基に衝撃を検知したと述べている。
ボクシングは、ノックアウトやパンチを理由とし嫌悪感を生じさせることが最も多かった。