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RBL/Bauer-Griffin/GC Images

アイウェアブランドのワービー・パーカーは、2010年の創業以来、小売分野での創造的破壊の代表例とされてきた。21世紀初頭にもっとも成功したD2C(Direct-to-Consumer)ブランドのひとつに数えられる同社は、オムニチャネル、そしてユニファイドコマースを駆使してブランドを構築した。

シナジー効果で消費者を引き込む


2020年3月、パンデミックの影響でワービー・パーカーの店舗売上は激減したものの、現在は当初の予測を上回るスピードで回復している。同社の共同創業者ニール・ブルーメンタール(Neil Blumenthal)は最近、ウォール・ストリート・ジャーナルの取材に対し、「とりわけ(2021年5月の)最後の2週間、小売売上は我々の予想を上回る速さで回復した。他の小売業者と話してみても、同じようなことが起こっている」と述べた。

さらにブルーメンタールによれば、店舗とオンラインの購入割合は半々だが、多くのオムニチャネル小売業者と同様に、店舗で購入した顧客の75%は、最初はオンラインで「パス・トゥー・パーチェス(購入までの経路)」を始めている。

店舗とオンラインのこうした相乗効果を実感している同社は、2021年には35店舗を新たにオープンする予定だ。データ企業のスクレイプヒーロー(ScrapeHero)によれば、ワービー・パーカーは現在、米国の33州104都市に149の既存店舗を展開している(この他にカナダで3店舗を展開)。

また、現在の小売店用賃貸市場では空き物件が記録的な数にのぼっていて、これによりワービー・パーカーがきわめて有利な賃料と条件を利用できることも注目に値する。物件所有者の多くは、小売店に有利な歩合賃料の交渉に応じるようになってきていることが報道されている。

資金調達の谷間


ワービー・パーカーは創業以来、5億ドルを超える資金調達をなしとげてきた。直近に行われた2020年の資金調達額は1億2000万ドルで、評価額は30億ドルに達している。

ブルーメンタールは、ウォール・ストリート・ジャーナルが5月29日におこなった前述のインタビューで、「資金調達イベント、もしくは流動性を高めるイベントとして株式公開の可能性」があると示唆したが、「我々が現在考えている、契機となるタイミングは特にない」と述べていた。

しかし、ワービー・パーカーは6月22日のプレスリリースで、株式公開の提案に関する草案文書を米国証券取引委員会に非公開で提出したと発表した。これはさほど驚きではない。同社が、現在の小売店賃貸物件市場の低迷を利用して、キャッシュフローに大きな負担をかけることなく、10%の事業規模拡大を目的とした資金を調達するという「好機」を見出しているとしても不思議はないからだ。

オンラインとオフラインの相乗効果の秘密を熟知しているワービー・パーカーは、きわめて有利な賃料と条件を引き出せるはずだ。さらに、物件所有者の多くは、小売店にかなり有利なかたちで歩合賃料の交渉に応じるようになってきていることが報道されている。

筆者が最近紹介したシリコンバレーのスニーカーブランド「オールバーズ」や、女優ジェシカ・アルバが創業した美容・パーソナルケアブランド「オネスト」、サラダチェーンの「スウィートグリーン」などのスタートアップが現在、足並みを揃えるようにしてウォール街に向かっているが、それらの後方に生じる気流を、ワービー・パーカーは見事に活かす可能性がある。まさに前進あるのみだ。

翻訳=的場知之/ガリレオ

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