一問一答
今回、筆者はブームへ取材を申し入れ、同社の広報担当者から話を聞くことが出来た。
──オーバチュアという名前に込められた意味は
より大きなものへの始まりという意味。超音速飛行が主流になるための第一歩と考えている。
──コンコルドの速度はマッハ2.2だった。オーバーチュアはなぜ1.7なのか
オーバーチュアの第1世代機は、さまざまな速度を検討した。マッハ1.7(マッハ1=音速)は、従来の旅客機速度の2倍であり、現在の技術で実現できる適切なスピードと持続可能性だ。騒音も、規制で定められたレベルに収まっている。
──明示されている航続距離は、東京ーサンフランシスコ間飛行に不十分では
4250海里(約7900キロ)を超える路線では、途中給油の必要がある。東京からサンフランシスコまでは約8300キロなので燃料補給をしなければならないが、給油は30分で完了するように設計されている。
──ユナイテッド航空以外に交渉している会社は
長距離で大洋を横断する航空会社は、当然ながら非常に期待している。
──ライバルのアエリオンが開発を停止したが、見解は
業界の革新的な仲間を失うことは決して喜ばしいことではない。ブームのアプローチは、規模の拡大と長期的な収益性に根ざしている。大洋を横断する商業航空旅行という大きな市場ニーズをターゲットにしており、何百機もの航空機で何百万人もの人々が利用できるようになる。
──当面の目標は
実証実験機である「XB-1」を使い、主要な技術と運用をサブスケールでテストし、証明すること。(取材内容は以上)
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コンコルドの運航停止は、ソニックブームの影響や燃費などの理由によるものだったが、次世代の機体は騒音も緩和され、環境性能も高い。環境に配慮した電動航空機の実用化も進められており、超音速と電気推進という二つの開発は共存していく(JAXA談)ことになる。
「夢よふたたび」との思いで、超音速旅客機の再来を待つ人も多いのではないか。コロナ禍が明ければ、人々の移動意欲も高まるだろう。そして10年もしないうちに、音速を超えた旅が実現するかもしれない。
北島幸司(きたじまこうじ)◎エアライン勤務歴を活かし、Webメディアや雑誌などで航空や旅に関する記事を執筆する航空ジャーナリスト。YouTubeチャンネル「そらオヤジ組」のほか、ブログ「Avian Wing」も公開中。大阪府出身で航空ジャーナリスト協会に所属する。