トヨタはこのニュースを6月3日、米国版サイトに掲載した。
カリフォルニア州ロスアルトスを拠点とするトヨタ・ベンチャーズは2017年に設立され、これまでeVTOL(電動垂直離着陸機)を開発するJoby Aviationや、マイクロモビリティを提供するRevel、自律走行型シャトルを運営するMay Mobilityなどの企業を支援してきた。同社は追加の資金1億5000万ドルをアーリーステージの企業向けの「フロンティアファンド」に注ぎ、さらに1億5000万ドルの「Climate Fund」を立ち上げる。
トヨタ・ベンチャーズのマネージング・ディレクターであるジム・アドラーによると、同社は合計5億ドル以上の資産を運用しているという。
トヨタは、自動車やトラック向けの原材料や電子機器、ソフトウェア、先進的なバッテリーや水素燃料電池システムの開発のために、数十億ドル規模の研究開発予算を持っている。その一方で、トヨタ・ベンチャーズは、将来的に利益をもたらし、同社のグローバルの事業に貢献する可能性のある技術を持つ小規模なスタートアップを見つけ出そうとしている。
「4年間のフロンティアファンドの活動を通じて学んだことは、イノベーションを一極集中的に計画することはできないということだ。私たちの使命は、革新的で破壊的なスタートアップへの投資を通じ、トヨタの次の可能性を見出すことだ」とアドラーは述べている。
トヨタ・ベンチャーズは、このファンドの実績については言及してないが、アドラーによると「これまでの成果に満足している」という。同社は、出資先のLiDARを開発するスタートアップ「Blackmore」が自動運転開発のオーロラに買収されたことで利益を上げており、2020年初頭に行われたJobyの、5億9000万ドル(約650億円)の資金調達でも主要な役割を担った。Jobyは、間もなくSPAC(特別買収目的会社)との合併によりニューヨーク証券取引所に上場し、16億ドルを調達する見通しだ。
一方で、新たに設立されたClimate Fundの使命は、「再生可能エネルギーや水素の活用、炭素の回収などに注力する新興企業との取り組みを通じ、トヨタのCO2削減の努力を加速させていくことだ」とアドラーは述べている。
トヨタ・ベンチャーズは、トヨタ・リサーチ・インスティテュートの子会社であり、資金調達活動の拡大に伴い、投資に関わるスタッフを増員している。