フォックスコンは5月31日、タイの国営財閥PTTとの提携により、EVと主要部品を生産するための「オープンプラットフォーム」を構築すると発表した。同社は、東南アジアでのEVの生産と販売を加速させようとしている。
タイはここ数十年の間、東南アジア最大の自動車生産拠点となっており、BMWや現代自動車、トヨタなどの世界的な自動車メーカーは、同国で自動車を生産し輸出している。
調査会社IHSマークイットのアジア太平洋地域担当のラジブ・ビスワスは、「タイ政府は、自国をEVの製造ハブにすることを目指している。自動車製造におけるタイの競争力を維持するために、これを必須の課題と考えている」と述べた。
石油などのエネルギー事業で知られるPTTは、フォックスコンに対し、技術やパートナー、現地のベンチャー企業とのネットワークなどを提供するという。また、フォックスコン側は「スマート製造技術」と「プロダクトを迅速に市場に投入するための知見」などを提供すると述べている。
共同声明によると、フォックスコンとPTTの計画にはタイ政府との「連携」が含まれている。アップルのiPhoneの組み立てを行うフォックスコンは、既存の製造キャパシティやサプライチェーンの管理能力、研究開発のためのリソースを、EV製造に転用可能だとアナリストらは述べている。
台湾経済研究所のマクロ経済予測センター副所長のDarson Chiuは、「今回の取り組みが成功するかどうかは不明だが、EVは非常に重要な産業だ。この分野で得られるビジネスチャンスは大きい」と述べた。
フォックスコンは、世界の自動車業界がEVや自動運転への注力を進める中で、ハイテク自動車分野への進出を加速させており、先月はフィアット・クライスラー・オートモービルズとPSAグループの合併で1月に設立された世界4位の自動車メーカー「ステランティス」と、車載用ソフトウェアで提携する計画を発表した。
さらに今年2月には、ロサンゼルス本拠のEVメーカー「フィスカー」と、新シリーズのEVの開発・販売に関する覚書を締結した。また、フォックスコンは中国のGeely(吉利汽車)やByton(バイトン)とも契約を結んでいる。