クラスターが発生したチャンギ国際空港(Photo by Ore Huiying/Getty Images)

シンガポールはこれまで、迅速な対応と綿密な監視システムにより、新型コロナウイルスの感染者数が天文学的な数字にのぼることを防ぎ、長期に及ぶロックダウン(都市封鎖)の実施から免れてきた。

このウイルスの感染が広がり始めた2020年1月、まだ「新型コロナ」の名前も付けられていなかった時点で、シンガポールは入国制限措置を導入。効率的な検査・追跡・隔離システムの運用を開始した。また、これらに伴う規則に違反すれば、罰則を科すこととした。

だが現在、人口の25.3%がワクチン接種を完了した同国で、新たに確認される感染者が急増している。同様に、これまで感染拡大の抑制に成功してきたとされるベトナムと台湾でも、感染が急拡大している。これら各国・地域の状況は、行動制限を緩和し、経済活動の再開を進めている国への「警告」となるはずだ。

シンガポールでは、チャンギ国際空港や公立のタントクセン病院、チャンギ刑務所、複数の施設を運営する学習塾のラーニング・ポイントなどで発生した24件のクラスター(感染者集団)にも効率的に対応。新規感染者の大半について、濃厚接触者を追跡、特定することができた。

ただ、オン・イェクン保健相によると、これらの感染者の中にはワクチン接種を完了した78人が含まれていた。そして、その大半はファイザーまたはモデルナのワクチンを接種した医療従事者だった。

接種を受けていた感染者は無症状、または軽症だったというが、これは公衆衛生に関する今後の戦略に、ブレイクスルー感染への対応を組み込む必要があることを明確に示すものだ。

インド型変異株への感染が急増か


チャンギ空港で発生したクラスターは、5月5日に検査で陽性と判定された空港の清掃作業員の男性(88)から広がったとされ、これまでに確認された24件の中で、最も多くの感染者(100人)を出している。

このシンガポール人の男性は、ワクチン接種を完了していた。また、このクラスターの感染者のうち少なくとも22人については、インド型の変異株(B.1.617)への感染が確認されている。

編集=木内涼子

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