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2021.06.04 08:30

食のサステナビリティは「食器」からも 創業113年、老舗メーカーの先進性


同サービスの対象は、ニッコーのファインボーンチャイナの取り皿。製品の所有権は同社が持ったまま顧客に継続課金をする。所有権をニッコーが持つことで、お皿の寿命を延ばすことが同社のインセンティブになるという仕組みだ。回収したお皿をメンテナンスやリカラー、リメイクすることで長寿命化を図る。

これまで、ニッコーの強みである食器の耐久性は、逆に割れるまで新しいお皿が売れないというジレンマにもつながっていた。Dish as a Serviceのモデルは、このジレンマを解消し、ニッコーの強みを活かしつつ顧客価値と環境価値を両立させる優れたビジネスモデルだ。

では、なぜ取り皿専用なのか。三谷氏はその理由をこう語る。「テストマーケティングをした飲食店では、同じサイズでも多種多様な取り皿を使っていました。私はこれを見たとき、少し統一感に欠けているという印象を持ったのです。しかし、厨房を見せていただくと、そこには大量の取り皿が積まれていました。当然、これだけの量を全て統一したお皿に買い替えるにはコストがかかります。そこで、初期費用が抑えられるサブスクリプションサービスを試験的に導入し、お店に採用していただきました。」

食器

「加えて、このお店のように、主菜のお皿にはこだわるケースが多いのですが、取り皿となるとそこまで目が向かないことが多いようです。しかし、実際にお客様が手に取り、口に近づけるのは取り皿です。取り皿にもこだわるほうがお店の顧客の満足度が高まると思うので、私たちもそこに貢献ができると考えました。意図しないことだったのですが、結果としてシェフの気持ちがより一層高まり、メインのお皿を買っていただくことにもつながりました。」

飲食店にとっては、初期費用を抑えながら高品質な取り皿を利用することができ、そのぶんメインのお皿にお金をかけることができるようになる。そして、取り皿、メイン皿ともに上質なお皿を揃えることができれば、結果として顧客満足度の向上につながり、ひいては売上向上につながる可能性もある。環境価値だけではなく、お店に経済面でもコスト削減・売上向上という二つの価値をもたらす可能性があるのが、このサブスクリプションサービスなのだ。

・利用:リカラーによる食器の再生

絵柄や金線の剥がれや擦れがある製品を再度カラーリングをすることで食器を再生する、リカラー。これまでは、製品寿命を迎える前に絵柄の摩耗が進むため、製品としてはまだ使えるのに廃棄されていた実情がある。これに対してリカラーは、製品自体の劣化スピードと絵柄の摩耗スピードを近づけていく試みである。

・利用:社内規格外製品の再生

同社の製品は、高品質なものとして広く評価を受けている。顧客に質を担保した状態で製品を届けるため、当然ながら厳格な品質管理体制を敷く。そのため、どうしても社内規格外製品が出てしまう。それらをリメイク・リサイクルすることで資源の有効活用を図るのがこの取り組みだ。三谷氏によると、社内規格外品を粉砕するリサイクルにはエネルギーがかかるため、まずはリメイクが優先されているという。
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文=那須 清和

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