『無敗営業』シリーズの著者である高橋浩一さんは、これからの時代に必要になのは、こうした「声がかかる人」になることだという。そのためには、人の心を動かし続けることが鍵となる。
今回はその具体的な方法について、高橋さんの最新著書『なぜか声がかかる人の習慣』(日経BP 日本経済新聞出版)から、一部抜粋してお伝えしよう。
自分の意思だけでは決まらない現実を理解する
誰しも仕事をしていれば、「声がかかるようになりたい」という気持ちはあるはずです。しかし、すべての人の希望が叶うわけではありません。
突然ですが、この中で、自分が望んだ通りに必ず決まるできごとはありますか。
● 自分の入りたい会社に就職する
● 自分の望む相手と結婚する
● 自分の住みたい部屋を賃貸で借りる
就職・結婚・住まい選び……。どれも、人生に影響を与えるイベントです。ここで、私たちが認識しておくべき現実があります。それは、「人生の大事な場面では、どんなに自分が望んでいたとしても、最終的には他人に決定権がある」ということです。自分を必要とするかどうかを決めるのは、「他人」なのです。
高望みをせず、何かを妥協すれば選択肢は他にもあります。しかし、人生の大事な場面で、自分にとっての「理想」がはっきりしていたら、やっぱりそれは実現したいですよね。
強く望んで努力をしても、決定権が相手にある場合は、受け入れてもらえなければ事が決まりません。報われない可能性もあるという現実を私たちは認識しておく必要があります。あなたに声がかかるということは、裏に必ず「声をかける人」がいるわけです。その人のアクションをあなたが直接コントロールすることはできません。
人から声をかけられるためには、相手の心を動かす必要があるのです。自らの意思だけでは決まらない構造を正しく理解した人が、自分の希望を叶えられます。
「人の心が動く瞬間」に詳しくなることが重要
「人の心を動かす」というと、ハードルの高さを感じるかもしれません。
「私はそこまで今の会社で評価されているわけじゃない」
「仕事ができる人は、自分と別の世界にいる気がする」
しかし、私が伝えたいのはそう難しいことではないのです。
どんな場面であれ、自分に対してOKの返事をもらえた場合、それはどこかで相手の心が動いたということです。
人生それなりの年数を生きていれば、相手が喜んでくれたり、OKの返事をくれたりという経験が大なり小なりあるでしょう。たとえ第一志望の企業でなかったにせよ、入社できたということは採用面接官の心を動かしたということです。
また、就職や結婚、引っ越しといった、数年あるいは数十年に1度のイベントでなくとも、日常生活でのささやかなできごとなら身に覚えがあるはずです。
人から「ありがとう」と言われたり、仕事でちょっと褒められたり、家族や友人に喜ばれたり……。「相手の心が動いた瞬間」の直前には、「あなたが相手の心を動かした、何らかの行動」があります。
人の心を動かすのが難しいと感じるのは、あなたの人間力やスキルが低いからではありません。努力していないからでもありません。
「いつ、どんなふうに人の心が動くのか」に関する情報が足りないからなのです。人の心がどう動くのかに詳しくなるほど、報われないことは減っていき、自分の希望が叶うことが増えていきます。