カリフォルニア州の大気資源委員会は5月20日、「クリーンマイル基準(Clean Mile Standard)」を全会一致で承認し、2023年から段階的に新ルールを導入することを決定した。
この新ルールは、配車サービスを規制する州の公益事業委員会によって施行され、初年度は、車両の走行距離の2%をEVによるものにすることを義務付け、その目標は2027年には50%、2030年には90%に引き上げられる。また、ドライバーのEV購入費用や充電スタンドへのアクセス、充電費用の負担を軽減することも目的としている。
大気資源委員会の議長は、「カリフォルニア州は、有害な排出ガスから人々を守ろうとしている。交通セクターは州の温室効果ガス排出量の約半分を占めており、その大部分は小型車によるものだ。新ルールは、州の気候変動対策を確実なものにする」と述べた。
今回の規制当局の動きは、2035年までにガソリン車の新車販売を禁止するというカリフォルニア州の計画とも一致している。ウーバーとリフトは近年、EVやハイブリッド車をネットワークに取り入れる努力をしており、ウーバーはドライバーのEVへの移行を支援するために最大8億ドルを拠出すると宣言した。
ウーバーは、2040年までにすべての車両を電動化するという目標を掲げている。そしてリフトはさらに積極的な目標を掲げており、州の新規則に合わせて、2030年までにすべての車両を電動化しようとしている。
また、ジョー・バイデン大統領も、自動車メーカーに対しバッテリー駆動の自動車やトラックの生産・販売を急速に加速するよう促しており、顧客とメーカーの双方に1740億ドル(約19兆円)のインセンティブを与える計画を、巨大なインフラ法案に盛り込んだ。
「Union of Concerned Scientists(憂慮する科学者同盟)」の交通アナリストは「この規制は公衆衛生と気候、そして配車サービスのドライバーたちに大きな利益をもたらす」と述べた。
EV化の「義務付け」は他の州にも拡大へ
大気資源委員会の声明によると、配車企業は車両のEV化だけでなく、歩道や自転車レーンなどのインフラの整備をサポートすることも期待されており、これらの分野に投資を行った場合、州の温室効果ガス目標達成のためのクレジットを得ることになる。
カリフォルニア州では、ゼロエミッション車の購入を促進するためのインセンティブが用意されており、低所得者のEVの購入に最大7000ドルのリベートを提供する制度などがある。また、非効率で環境負荷が高い旧型車の廃車を促進するプログラムもあり、低所得者層のドライバーには最大9500ドルのリベートを提供している。
カリフォルニア州の大気資源委員会は、環境関連の規制において連邦政府を上回る権限を持っており、新しいルールは、ウーバーとリフトの目標達成を確実にするものだと述べた。20日に承認された規制は、カリフォルニア州のみに適用されるが、他の10以上の州にも、同様な動きが広まる可能性がある。