アライバル社のモビリティ担当上級副社長のトム・エルヴィッジによると、同社の「Arrival Car」と呼ばれるモデルは、配車サービスやカーシェアでの利用を想定した比較的低コストなEVで、当初は英国やEU諸国での販売を想定している。
生産は、2023年後半に開始予定で、それに先立ちウーバーのドライバーからのフィードバックを受け、改良を重ねていくという。
エルヴィッジは、ウーバーとの提携の財務的な詳細については言及していないが、「このプロダクトは、手頃な価格で耐久性に優れ、配車サービスで使用する上で使い勝手がよいものでなくてはならない」と述べた。
ロシアの大富豪のデニス・スヴェルドロフが設立し、ナスダックに上場するアライバル社は、次世代のEVスタートアップ企業として知られている。イーロン・マスク率いるテスラは、数十億ドルを投じて巨大なギガファクトリーを建設したが、アライバルは小規模な工場でバッテリーパックを小型化し、複合素材を用いたボディパネルを製造することで、ガソリン車と同程度のコストで軽量の自動車を生産しようとしている。
アライバルの最初の3つの「マイクロファクトリー」は、それぞれ5000万ドル以下の費用で英国と米国のサウスカロライナ州、ノースカロライナ州に設置されている。
2015年にロンドンで設立されたアライバルは、長らくセミステルスモードだったが、2020年のはじめに現代自動車と起亜自動車から1億1000万ドルを調達し、一躍脚光を浴びた。さらに、その直後に米運送大手UPSから1万台のEVトラックの受注を獲得し、その金額は5億ドル近くに及ぶとされた。UPSは、アライバルの出資元の一社でもある。
アライバルは今年中に売上を生み出す予定で、2023年にはキャッシュフローがプラスに転じると見込んでいる。
同社のウーバーとの提携は独占的なものではなく、最終的には他の配車サービス企業にも車両を提供する可能性があるという。エルビッジによると、Arrival Carの価格はまだ未定だが、1充電あたりの航続距離は、最低でも250マイル(約400キロ)になるという。
ウーバーは、ロンドンでの配車サービスに用いる車両を2025年までに全てEVにすることを目標としており、北米と欧州では同じ基準を2030年までに採用しようとしている。
ウーバーの北欧・東欧地域担当ゼネラルマネージャーのジェイミー・ヘイウッドは、「当社は、2025年までにロンドンのすべてのドライバーがEVにアップグレードできるよう支援していくことを確約しており、この野心の達成に向けて、1億3500万ポンド(約200億円)以上を調達した。アライバル社の提携は、EV化の取り組みを後押しする」と述べた。