EV充電所の「EVgo」が上場へ、バイデン新政権の環境政策に期待

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米国最大規模の電気自動車用急速充電ネットワークを運営する「EVgo」は、バイデン新政権が創出するクリーンテック投資の高まりの波に乗り、SPAC(特別買収目的会社)との合併により、株式上場を果たす計画を明らかにした。

上場後のEVgoの企業価値は、26億ドル(約2700億円)に達する見通しだ。

LS Powerの子会社で創業11年のEVgoは、炭素削減に焦点を当てた事業にフォーカスするSPACで、ニューヨーク取引所にティッカーシンボルCLIIで上場するCRIS(Climate Change Crisis Real Impact I Acquisition Corporation)と合併する。

同社は、私募増資による4億ドルとの合計で5億7500万ドル(約597億円)を新たに調達し、充電ネットワークの増強を行うという。

EVgoのCEOであるキャシー・ゾイは、テスラに代表されるバッテリー駆動車の販売台数が今後、飛躍的に増加すると述べている。「2019年と2020年には、米国で約100万台のEV(電気自動車)が走行していた。この数字は、2027年には約700万台に膨らむと予想している」と彼女はフォーブスに語った。

同社の株式上場計画は、バイデン新政権のEV推進策を受けてのものだ。バイデンは、EVの普及を後押しするため、全米に少なくとも50万台の公共の充電器を追加するという目標について議論した。さらに、バイデンが運輸長官に指名した前インディアナ州サウスベンド市長のピート・ブティジェッジは、1月21日の上院の公聴会でその目標を強調した。

「インフラが鍵となるだろう」とブティジェッジは議会で述べた。「産業界はEVの普及に期待しているが、消費者はその航続距離に不安を感じている。だからこそ、大統領が50万台の充電ステーションの設置を約束したことは、とても重要なことだ」

米国エネルギー省の元次官であるEVgoのゾイCEOは、税制優遇措置や官民のパートナーシップの可能性に言及したが、同社はバイデン新政権の計画について、説明は受けていないという。

EVgoは通常、4台の車を同時に充電できるステーションを建設しており、1台の充電器に50万ドル以上の費用がかかるという。同社は自動車メーカーをサポートするプロジェクトにも取り組んでおり、最近ではGMと提携して2700台の急速充電器を設置しようとしている。また、テスラは独自の充電ネットワークを運営しているが、EVgoはテスラの顧客のニーズに合う仕様の変更も行っている。

「我々は昨年9月のIPO以来、気候変動との戦いを進めてきた。あらゆるEVの充電を便利にするEVgoのような企業と合併できることは光栄だ」とCRISのCEOであるDavid Craneは述べた。

EVgoの私募に参加する企業としてはブラックロックやPimco、Wellingtonらが挙げられる。クレディ・スイスはこの取引の主幹事を務める。CRISの株価は、今回のニュースを受けて65%急騰し、史上最高値の22ドルをつけた。

編集=上田裕資

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