にもかかわらず、内燃機関自動車は今後も、道路を走ったり、発展途上国で再販されたりするだろう。総保有コスト(TCO)という点から見積もると、燃料と比較した場合の充電コストの低下やメンテナンス要件の低さから、価格は大きな要因になっていくが、それだけでなく、高速充電ネットワークの可用性などのほかの要素も考慮する必要がある。
電気自動車の価格が内燃関自動車のそれと同等になる日が近づいている一方で、車の販売に影響を与えている要因についても考える価値はあるだろう。現在はまだ、そうした要因に悩まされているのは、ほとんどがディーゼル車とガソリン車だ。たとえば、半導体が不足する「チップ危機」は、自動車業界に甚大な影響を及ぼし、2022年まで続く可能性があるとされている。この危機により、生産上の問題が生じ、多くのモデルでエレクトロニクスオプションが省かれる事態になっている。そのせいで、いますぐに自動車を購入する動機が小さくなっている。
そうした理由から、内燃機関技術の最後の日々になるかもしれないまさにその時期に、一部の消費者が自動車購入を控えることも予想される。そうなれば、その後に価格差が縮まるのに伴い、そうした消費者が電気自動車を選ぶ可能性は高くなるだろう。
最後にもうひとつ。米国では、バイデン政権が打ち出した野心的なインフラ計画も電気自動車への移行を加速させると予想されており、それにより、電気自動車の品ぞろえの充実に対する自動車メーカーの関心が高まりつつある。一方、欧州では、ノルウェーやオランダなどの最先端を行く市場に、中国の電気自動車ブランドが進出し始めている。彼らは、欧州大陸のそれ以外の国でも、価格という点できわめて競争力の高い商品を展開していく計画だ。
いずれにしても、自動車業界の未来は電気にある。そして、電気自動車への移行は、この10年のうちに進むだろう。新車の購入を考えているのなら、その点を考慮に入れるほうがいいかもしれない。