ロイター通信が伝えたところによると、日本には(5月7日までに)米製薬大手ファイザー製の新型コロナウイルスワクチンおよそ2800万回分が届けられている。だが、実際に接種できたのは、このうちわずか15%。冷凍庫に入れられたままのワクチンは、約2400万回分にのぼっている。
また、日本は米モデルナ製と英アストラゼネカ製のワクチンも承認する見込みであることから、「備蓄」はさらに増えることになる。モデルナ製はすでに4月末に到着しており、アストラゼネカ製は日本国内でおよそ3000万回分が製造されている。
接種を必要とする高齢者がまだ数多く残されている日本では、ワクチンを分配し、接種するために必要な人手が不足している。主にこうした流通面での問題が、接種計画の推進に影響を及ぼしている。
政府は先ごろ、約3600万人の高齢者への接種を7月までに完了させるという野心的な目標を設定した。これは、1日に80万回の接種を行うことになる難業だ。1日あたりの接種回数はこれまでのところ、平均6万8000回程度。11倍に増やす必要があるということだ。
世界のワクチン接種状況を追跡するブルームバーグの「ワクチン・トラッカー」によると、人口およそ1億2600万人の日本で、少なくとも1回の接種を受けた人の割合は、2.2%。ロイターはこれについて、「富裕国の中で最も低い」と伝えている。
富裕国のワクチン「抱え込み」への批判
日本で未使用の新型コロナウイルスワクチンが増えていく一方、インドなど一部の国は、十分な数のワクチンを製造、または入手するのに苦労している。
米国の慈善家メリンダ・ゲイツは、低所得国が十分なワクチンを入手できずにいること、「医療従事者にさえ接種を受けさせられない」国があることは「非常に残念なことだ」と述べ、富裕国はワクチンを「ため込む」のをやめるべきだと訴えている。