NYTの第1四半期の純利益は、前年同期の3290万ドル(1株あたり20セント)に比べて25%増の4110万ドル(1株当たり24セント)に上昇した。売上高は約7%増の4億7300万ドルで、特殊要因を除いた1株利益は26セントだった。ウォールストリートのアナリストは、4億6330万ドルの売上に対して14セントの1株利益を予想していたが、今回の結果はそれを上回るものだ。
NYTのプリント版およびデジタル版の有料サブスクリプション会員は、4月30日時点で780万人を超えており、そのうち500万人以上がデジタル版の購読者だった。第1四半期に同社が新規に獲得したデジタル版の購読者数は30万1000人だった。
メレディス・コピット・レヴィアンCEOは、決算会見で「昨年の米大統領選や人種問題、パンデミックなどの過去5年間の出来事が、当社のジャーナリズムにかつてないほどの需要をもたらし、購読者数の増加を加速させたことに疑いはない」と述べ、今後もニュース分野への投資を継続する姿勢を打ち出した。
NYTは、オンラインコンテンツへの課金を開始した最初のニュースパブリッシャーのうちの1社だ。その当時、批評家たちはNYTの計画が近視眼的だと批判していたが、同社は2025年までに1000万人の購読者を獲得するという目標を達成しようとしている。
NYTも他の新聞社と同様にプリント版に依存しているが、紙媒体の広告収入は高級品や旅行カテゴリーの落ち込みを受けて、32%減少した。プリント版の販売からの売上は、シングルコピーおよび海外でのバルク販売が減少したため4%減少した。
NYTは、第2四半期のデジタル版とプリント版の購読料収入の合計が、前年同期比で約15%増加すると見込んでおり、デジタル版の収入の伸びが約30%増と予想している。広告収入は、パンデミックの影響で業績が悪化した前年同期と比較して、70%から75%の増加となる見通しだ。
「第1四半期の業績は、デジタル広告部門の大きな改善を反映している」とレヴィアンCEOは述べ、背景には広告市場の活況や、昨年から始動した競争力や収益率向上に向けた取り組みがあると話した。
NYTの株価は1月以降に12%以上も下落したが、ウォールストリートのアナリストたちは、同社に対して強気の見方を崩していない。5日の終値は43ドル台に下落したが、アナリストたちの今後1年の目標株価の平均は56.50ドルで、32%以上の上昇が見込まれている。