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VCのインサイト

先週のCoinbaseのIPOは、仮想通貨業界にとって大きな転換点となる出来事でした。上場後の時価総額は850億ドル(約9兆2500億円)を超え、それによりこれまで曖昧で不透明だと思われていた「デジタル通貨」の取引市場が急拡大し、NASDAQやロンドン証券取引市場、さらには香港証券取引市場をも上回る規模へと膨れ上がったのです。

そんな「分散型金融(Decentralized Finance)」のこれからを代表するような企業が、ブロックチェーンではなく従来の株式市場で取引されているのは少し矛盾しているかもしれませんが、新旧を融合させた象徴的な上場だという考え方もできます。あやしい業界だと思われていた初期の頃から印象を一新し、仮想通貨はようやく「夜明け」を迎えて主流として受け入れられようとしています。今回の上場は、この業界の変化を裏付ける重要な節目になったと言えるでしょう。

Coinbaseがまさに時代の申し子のような企業であるという点でも、今回のIPOは象徴的です。

パンデミックに対する景気刺激策として世界中の国々が何兆ドルもの紙幣を刷り、インフレリスクが高まる中、ヘッジ手段としてBitcoinにより注目が集まっています。この景気刺激策はさらに一般投資家による投資の活性化も促し、CoinbaseやRobinhoodなどの取引プラットフォームの爆発的な成長に繋がっています。

おまけに、上場方法についてもCoinbaseは最先端を行っています。SpotifyやSlackなどの最近最も注目を浴びているテック企業がそうしたように、通常のIPOではなくダイレクト・リスティングによる上場を選択しているのです。

いろいろな意味で、CoinbaseはFacebookによく似ています。

まず、どちらも重要な時代を代表する企業です。Facebookは「ソーシャルメディアの王者」としてSNSの拡大期を支え、同様にCoinbaseは「仮想通貨の王者」、もっと言えば「金融デジタル化の王者」として、その成長局面に貢献しています。

また、Facebookが始まったばかりの頃は、大学生の間で一時的に流行っているだけだと軽視する声が多く、その後もその将来性について何度も繰り返し疑問視されてきた過去があります。同様に、仮想通貨のブームが起こり、そして過ぎ去るたびに、Coinbaseの成長性に対して懐疑的な見方が強まるといったことが繰り返されています。

実際、CoinbaseはY Combinator (YC)のプログラムにもかろうじて参加できたような形で、当時YCでパートナを務めていたGarry Tan氏の信任投票がなければ一度も参加がかなわなかったでしょう。

文=James Riney

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