現在、B1各クラブの年間売上は8億円前後とされる。島田は「クラブの経営力、事業レベルをアップさせ、各クラブの事業売上を20億円までスケールアップさせたい。そのために必要不可欠なのが夢のアリーナ」と明言。現在、Bリーグには1億円プレーヤーも在籍するものの「2億円、3億円のプレーヤーを誕生させ、世界のビッグネームをリーグに迎えたい」。さらには「八村(塁)のような選手を輩出し、NBAに次ぐ世界第2位のリーグへと押し上げたい」とビジョンを明示した。
さらにチェアマンは「スケールアップのためには、構造改革が必要。(この改革により)成長すれば将来も踏襲されるでしょうし、成長がなければ未来のチェアマンが別の判断をすると思う。今は正しいアプローチだと思っている」と記者団からの最後の質問にも胸を張った。
スマートアリーナの実現で、飛躍を目指す
Bリーグはその設立とともにソフトバンクをトップパートナーにいだき、スタート当初からデジタルトランスフォーメーションに取り組んできた。すべての試合を「バスケットLIVE」というインターネット・プロトコルを介した配信により観戦することができ、またソフトバンク5G LABの協力により、AR/VRのソリューションも提供されている。
Bリーグ資料「BEYOND 2020」から抜粋
「BEYOND 2020」構想においては、OTTだけでなく、視聴者参加型ゲームAQUIMOの提供、AI活用によるハイライト映像生成、3Dライブ・ビューイング、ファンタシー・スポーツの具現化も盛り込まれていた。
さらに「夢のアリーナ」構想の着地により、スマートアリーナでの観戦が促進されれば、「日本のスポーツ界を牽引するのはバスケットボールだ」となる構図が生まれる可能性もある。Bリーグは、欧州サッカー型からNBA型への脱皮を遂げる。
筆者はニューヨーク時代、マジソン・スクエア・ガーデンに足繁く通い、パトリック・ユーイング対マイケル・ジョーダンの対決を目撃し(ニューヨーク惨敗が常だったが…)、アトランタ時代は勤務するCNN本社から直結のフィリップ・アリーナで、ディケンベ・ムトンボのブロックショットに驚愕した……。いちファンとして、そんなスケールのバスケを日本で観戦できるようになれば、それも夢の具現化だ。
「バスケで日本を元気に」。2026年にはその理念の結実を期待したい。
連載:5G×メディア×スポーツの未来
過去記事はこちら>>