Bリーグを「NBA型」へ 島田チェアマンが提示した5年後の構造改革

2026年構造改革で、日本のスポーツ界を牽引する存在となるか(Shutterstock)


「年間の売上8億円からスタートしたリーグは、昨年は約50億円、今年は65億円が見えている」という成長曲線上にありながら、2024年をもって昇降格モデルを廃し、クラブを再評価のうえ、新B1、新B2、新B3へ移行、エクスパンション制を敷くと発表した。
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その背景には、コミック『スラムダンク』連載時の100万人という時代から、現在は60万人にまでなった日本バスケ競技人口の減少がある。世界の競技人口4.6億人と比較すると、「減少」という点は心細い限り。「バスケで日本を元気に」という理念を掲げながらも、「まだまだ、それほどインパクトを与えていない」と危機感を露わにした。

Bリーグ島田慎二チェアマン
改革案を解説したBリーグの島田慎二チェアマン (c) smart value

具体的な新構想については、「現在のB1の上位に新B1を設立するイメージ」とし、新B1への評価を以下の通りに再定義する。
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・1万人規模のフランチャイズ・アリーナの保持
・1試合平均4000人以上の観客動員
・年間事業規模12億円

アリーナについては、サイズよりも「観るためのアリーナ」というテーマを重視している。VIPルームの設置やアリーナを一周できるコンコース、トイレや車椅子席の数など、こうした条件によっては5000人以上のサイズで対象となる。

昇降格制度を廃止すると言っても閉鎖的なリーグにするわけではない。2024年に再評価、2026年には「最低でも10クラブ、多ければ18クラブ」でスタートを切る。その後も上記条件をクリアするクラブについてはエクスパンション制で加入を促進。最終的にはNBAのように30クラブ程度までの規模拡大を視野に入れての構想だ。

昇降格制度廃止にはもちろん賛否あるだろう。しかし島田チェアマンは「地域との座組を安定させることができず、チームへの先行投資ができない。チームをサステナブルに成長させ、ビジネス面を強化しない限り、次のステージへと進むことができない。新たな転換が必要だ」と主張した。

この主張通り、降格というシステムには大きな危険も潜んでいる。

東京スタジアムは味の素とネーミングライツ契約を締結。「味の素スタジアム」はサッカーファンにとっておなじみの呼称となっている。しかし、FC東京、東京ヴェルディの2チームがフランチャイズとして活用する味スタでも、ヴェルディのJ2降格により、本契約値下げ交渉の材料となり、契約金が目減りするという事態も生じた。

クラブの昇降格は、スタジアムの自助努力とは無関係でありながら、契約金に跳ね返ったという現実だ。もちろん、昇降格の対象となるクラブ自体への影響は計り知れない。降格の度にスポンサー契約の危機に直面する。

チェアマンが唱える「もっとビジネスとしてスケールしないといけない」という観点に立てば、事業の拡張性に影響を与える昇降格という「変動制」はマイナスでしかないだろう。
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文=松永裕司

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