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昨年緊急事態宣言下で休業を余儀なくされた伊勢丹新宿店(GettyImages)

百貨店が斜陽産業であることは、多くの人にとって驚きではないだろう。

昨年は新型コロナ禍の影響もあり、全国の百貨店73社196店舗を対象とした調査では、年間の合計売上高は約4兆2204億円で、前年比25.7%減と過去最大の減少幅となった。もちろん、それより前から百貨店の存在意義は度々問われてきた。なかでも大きな影響を与えたのはオンラインショッピングサイトの台頭だろう。その流れに乗り遅れぬよう、百貨店各社もデジタル化に取り組み、新たなビジネスモデルを築こうとしている。

しかしこうした流れに疑問を呈するのは、流通・ファッションビジネスコンサルタントの第一人者である、小島ファッションマーケティング社代表の小島健輔だ。

「百貨店が生き残る方法として、ECは決定打とはならないと思う」と小島は指摘する。

百貨店がECとデジタル化に対応していくのは難しいとすると、活路はどこにあるのか。小島に百貨店が抱える課題を聞いた。

ECに取り組むも壁 日米百貨店の差


──EC拡大は百貨店生き残りの決定打とならないとの見方を示されていますが、なぜでしょうか。

日本の百貨店は、店頭で商品が売れた時点で初めて百貨店側がその商品を仕入れたこととみなされる「消化仕入れ」が大半です。すなわち商品が売れるまでは百貨店にその商品の所有権はありませんから在庫を確保できず、POSシステムと呼ばれる販売管理システムに商品在庫を登録できない。販売管理システムに在庫を登録できないと、ECで受注された分の在庫を確保することもできません。

対してアメリカで主流の「エクスクルーシブバイイング」というシステムは、各百貨店がブランドのコレクションから気に入った品番の商品を全て買い取り、その品番の販売を独占するというやり方です。このやり方では店舗間で売れない店から売れる店へ自由に在庫を移動することができるし、自由に値引き販売を行うこともできます。

さらに、ECに商品を掲載するには「さ・さ・げ(撮影、採寸、商品説明をつけるなどの工程)」が必須ですが、こうしたフローも確立されていない。

日本の百貨店の場合、商品を買い取ってもないしPOSに在庫を登録もしていないし、ゼロから大量の商品をさ・さ・げするのは非現実的です。

──では、日本の百貨店ECに進化の余地はないのでしょうか。

米百貨店のコールズなどが導入している「ドロップシッピング」という方式を取り入れるのが一案でしょう。ドロップシッピングとは、取引先の在庫を買い取らずに商品在庫登録だけ行い、ネット上で販売した商品は在庫を抱えるサプライヤーが顧客に直送するというやり方です。

百貨店側は在庫を抱える必要がなく、売り上げの手数料を取ることができるため、負担が全くない。さらにメーカー側も、抱えている在庫をデパートのサイトに載せてもらえば余剰在庫が少なくなります。オンラインシステムの整備だけで物流投資を要さないのも利点です。

文=河村優

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