採用された人は、キャリアの初期は複数の業界で短期の仕事をこなしていて取り立てて変化がなかったが、過去10年では投資管理の分野で特に堅固な実績を作っていた。過去3年間は、自分の得意分野で会員組織を立ち上げたり、重要な講演の機会を射止めたり、応募中の企業が強く求めていた法人客に頼られたりと優秀さを発揮していた。
彼女はその段階で確実に、キャリアに推進力を持っていた。
3. 持続可能性
キャリアが上方向に推移し、大きな機会(あるいはトップの地位)を得ようとしているまさにその時点でキャリアが勢いに乗っていて、さらには市場の上下にかかわらず毎年結果を出しているのが理想だ。
時期の良し悪しにかかわらず重要な結果を出し続けられる力は持続可能性、あるいは持久力を示している。競争力がある候補者は、一発屋でも、成長市場や好転している状況でしか素晴らしい結果を残せない人でもない。
持続可能性は多くの候補者が見逃しているようで、私はコーチングの顧客に対しこの点を強調するようくぎを刺している。目標とする企業から、異なる市場の状況でのパフォーマンスについて尋ねられるだろうと思い込まないこと。
新型コロナウイルス感染症の流行によって状況が非常に急速に変化することが明確になり、成長と引き締めのどちらの状況でも活躍できることは大きなアピールポイントになっている。
私の顧客の一人は、法務トップの採用活動で最終候補者の1人となった。彼女は、急速に成長する企業での経験と、最近の事業売却や企業再編における経験をどちらも強調するようにした。
雇用主自体は成長を遂げている段階にあったが、企業は最近厳しい決断に直面していてチームに多様な能力を求めていたため、低迷する市場での経験があった彼女が目を引き、採用された。
全ての企業や役割、業界に通じるスキルセットはないが、職務経歴書を自己評価し、上方向の動きと勢い、持続可能性の3つの要素が示されていることを確認することはできる。こうした要素がない場合は、将来の役割やプロジェクトの選択の中でこの差を埋めるか、こうした弱点が目立たないようなメッセージを考えよう。
私のコーチングの顧客の1人は、ある業界で長い間勤務した後で業界を変えた。残念なことに、新たな業界は彼女に長期的には合わず、それと同時に昔の業界で理想的な役員の職務の募集が開始された。
この仕事は彼女の直近の経験とはあまり関連性がないようなので、勢いは不足しているように見えるものの、私たちは現在の業界で過ごした時間によって彼女独自の経験が向上したことを強調するストーリーを作った。新たな業界での彼女の経験は不利な点となるどころか最高経営責任者(CEO)と役員会の心に響き、彼女は最終選考まで進んでいる。