急増する米メキシコ国境の子供の移民、収容施設は悲惨な状況

Photo by John Moore/Getty Images

米国とメキシコの国境を越えてくる保護者が同伴しない子供の数は毎日、数百人に及んでおり、連邦政府が保護している未成年者の数は3月27日までに1万8000人を突破したことが明らかになった。

合衆国保健福祉省(HHS)が運営する施設には27日時点で、約1万2500人の移民の子供たちが保護されている。HHSは、米国内の親やその他のスポンサーに子どもたちを紹介する活動を行っている。

さらに5500人の子供がCBP(税関・国境警備局)に保護されている。CBPでは本来は大人用の施設に子供を収容することが多く、子供の収容時間は72時間とされているが、その期限を超えて滞在している未成年者も多い。

27日には、605人の同伴者のいない未成年者がCBPに保護されたが、別の場所に移送されたのは388人のみで、国境警備隊に拘束されたままの子供の数は増え続けている。

2月に南の国境を越えて捕まった同伴者なしの未成年者の数は9457人だった。CBPのデータによると、これは昨年2月から50%以上の増加で、2019年5月以降で最も高い数字となっている。

CBPによると、過去30日間の平均で1日あたり約475人の子供たちを逮捕しており、3月の逮捕数は2月よりもさらに増加する見通しという。

先月、南の国境を越えて捕まった移民の数は28%増加したが、特に同伴者のいない未成年者の増加が大きな負担となっている。HHSが保有するシェルタースペースは限られており、何千人もの子供たちが、CBPが運営する過密状態のテントやその場しのぎの施設での滞在を余儀なくされている。

CBPの施設を訪れた民主党のヘンリー・クエラー議員は、その状況を「悲惨だ」と述べた。HHSは、コンベンションセンターやスポーツアリーナなど、従来とは異なる場所に一時的なシェルターを開設し、この状況を改善しようとしている。

トランプ前大統領は昨年から、国境を越えて捕まった子供たちを即座に追放していた。このポリシーは、未成年者を危険な状況に追い込むと批判を浴びていた。その後、バイデン大統領はこの方針を撤回し、連邦政府はすべての未成年者を収容することになった。

編集=上田裕資

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