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2021.03.16

破綻から再生の米トイザらス、実店舗新設で「戦略的拡大」へ

Photo by Matthew Horwood/Getty Images

2017年に連邦破産法11条(日本の民事再生法に相当)の適用を申請、米国内の全店舗を閉鎖したかつての「玩具業界のリーダー」トイザらスが、新たな所有者のもと、米国内での事業拡大を目指すこととなった。

ブランドの買収とマネジメントを専門とする米WHPグローバル(WHP Global)は1月15日、トイザらスの現在の親会社である米トゥルー・キッズ(Tru Kids)の支配株主となったことを明らかにした。

トゥルー・キッズは「ベビーザらス」とぬいぐるみの「ジェフリー・ザ・ジラフ」の商標権をはじめ、およそ20の玩具・ベビー用品ブランドを保有している。

ニューヨークに拠点を置くWHPグローバルは発表文で、トイザらスの「戦略的拡大」を主導していく考えを表明。イェフダ・シュミッドマン会長兼CEOは、「玩具販売のカテゴリーが16%の成長を見せ、需要がかつてないほどの高まりを見せる中で、世界有数の玩具ブランドを率いていくことをうれしく思っている」と述べている。

また、シュミッドマンは米CNBCの取材に対し、全米各地に新店舗を開設する計画を明らかにした。具体的な数には言及しなかったものの、ホリデーシーズン前の開業を目指すという。

国内のショッピングモールの多くは客足の減少に直面しているが、シュミッドマンによれば、WHPはそれも「好機」と捉えているとのこと。ポップアップ・ストアや空港内の店舗、既存の小売店内に販売スペースを設けるなど、新たなフォーマットの導入により、顧客の獲得を狙う考えだという。今後のトイザらスの運営は、「コロナ後の非常に興味深い事業」になると語っている。

破綻後もブランドは存続


トイザらスが破産法の適用を申請したのは、巨額の負債を抱えていたことに加え、オンライン販売事業を大規模に行うアマゾン、ウォルマートやその他の競合各社との競争に苦しんだことが主な要因。結果として、米国内のすべての店舗を閉鎖する決断に至った。

だが、翌年に「清算セール」を開始するとその間に買い手が決定。2019年には新設されたトゥルー・キッズのもと、国内の2カ所にポップアップ・ストアを開業した(これらの店舗は新型コロナウイルスのパンデミックの影響を受け、今年初めに閉鎖)。

WHPによると、トイザらスとベビーザらスはカナダのほか欧州、アジア、アフリカ、中東の25か国以上で合わせて約900店舗を運営するほか、eコマース事業を展開しており、販売は好調だという。年間売上高は、20億ドル(約2180億円)を超えている。

編集=木内涼子

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