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2021.01.21 07:00

欧州で急拡大の客が来ないEコマース拠点「ダークストア」

Simona Granati - Corbis/Getty Images

スペインのデリバリー企業「Glovo(グロボ)」は、スイスの不動産投資会社Stonewegと1億ユーロ(約126億円)のパートナーシップを結び、ダークストア事業を大幅に拡大しようとしている。

ダークストアとは、オンライン注文の配送だけに対応する、客が訪れることのない店舗の総称だ。

バルセロナ本拠のGlovo は昨年、Qコマースと呼ばれる新部門を立ち上げ、ダークストア事業に注力を開始し、あらゆる商品を30分以内に顧客の家に届けようとしている。Qコマースというのは、クイックなコマースの略で、同社は既に、Unilever(ユニリーバ)やNestle(ネスレ)、L’Oreal(ロレアル)などの小売ブランドや、ウォルマートやカルフールなどの食品スーパーマーケットと提携を結んでおり、競争の激しいデリバリー市場に新風を吹き込もうとしている。

新たなパートナーシップで、StonewegはGlovoのデータを活用して倉庫を購入し、そのスペースをGlovoに貸し出して、ダークストアとして運営させるという。Stonewegは欧州全域で事業を展開しており、1億ユーロを投じて、倉庫を買い取る計画だ。

GlovoのCEOのオスカー・ピエールは声明で「私たちは共同でロケーションの選択を行っていく。Stonewegは、倉庫や不動産を見つけるための知見を持っており、当社は物流や需要の観点から理想的な場所を発見するためのデータを持っている」と述べた。

ピエールによると、今回の提携はStoneweg側に不動産ポートフォリオを増やす上でのメリットとなり、Glovoとしては、現在18店舗あるダークストアを、数百店舗に拡大する道が開けるという。

Stonewegの欧州地域の責任者のJoaquín Castellvíは、今回の買収が「当社の顧客に新たな投資機会を与える」と述べている。

Glovoは現在、スペイン、イタリア、ポルトガル、ルーマニアで18のダークストアを展開しており、2021年末までに100店舗に拡大する計画だ。ピエールによると、マドリッドやバルセロナのような大都市では、それぞれ10~15のダークストアが開設される可能性があるという。

ピエールはさらに、新型コロナウイルスが消費者の行動を変えた結果、迅速なデリバリーの需要が高まったと述べている。これらの需要の一部は、パンデミック後に再調整されるかもしれないが、需要の高さは続く見通しという。「Qコマースの利用頻度は、少し下がるかもしれないが、以前のレベルには低下しないだろう」と彼は続けた。

Glovoは昨年、ラテンアメリカ事業をドイツの「デリバリーヒーロー(Delivery Hero)」に売却したため、潤沢なキャッシュを保有しているという。フォーブスは昨年9月に、買収額が最大2億3000万ユーロ(約284億円)にのぼると伝えていた。

編集=上田裕資

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