メーガン妃の「告発」以外にも、英王室の悩みの種

Harpo Productions/Joe Pugliese via Getty Images

ヘンリー王子とメーガン妃は2時間にわたって米人気TV司会者オプラ・ウィンフリーの質問に答えたインタビューで、ロイヤルファミリーとの対立や自らに向けられた人種的敵意を巡って英王室を告発するという異例の行動に出た。これを受け、バッキンガム宮殿は混乱に陥っている。

放送前から大きな注目を集めていたインタビューの中で夫妻は、英タブロイド紙の人種攻撃に関する問題や、王室が夫妻を守るための措置を講じなかったことなどに言及。メーガン妃は精神的な問題を抱えるようになり、自殺を考えるまでになったことを明らかにした。そして、ヘンリー王子は妻にかかる圧力を和らげる方法を思案し、最終的に米国への移住を決断したという。

ただ、英王室を巡って論争が起きるのは、これが初めてではない。エリザベス女王の伯父エドワード8世(米国人女性との結婚を理由に退位)は、アドルフ・ヒトラーの招待を受けドイツを訪問したことで悪評を買った。

より最近では、エリザベス女王の次男アンドルー王子が、性犯罪で有罪となった後に性的目的での人身取引で起訴され、勾留中に死亡した米国の富豪ジェフリー・エプスタインとの交友関係を巡って調査対象となり、それを理由に公務から退いている。

批判や「廃止論」も


ヘンリー王子夫妻のインタビューに対する反応は、米国と英国で大きく異なっている。米国ではメーガン妃を支持する人が多い一方、英国では賛否が拮抗しているもようだ。

英国で夫妻のインタビューを放送したITVで朝の情報番組「グッド・モーニング・ブリテン」の司会を務めていたピアース・モーガンは、放送中に同妃に対する態度を共同司会者から「痛ましい」「悪魔同然」と批判され、即座にその場から立ち去った(その後、降板が発表されている)。

論争が高まるなか、英王室に批判的な人たちの間では再び、君主制の廃止を訴える声も出始めている。

膨らみ続ける支出


英政府は毎年、国民から集めた税金、王室が国庫に納めたクラウン・エステート(王室所有の不動産)からの利益、その他の政府収入の合計のなかから、一定額を助成金として王室に支払う。その金額は前々年度のクラウン・エステートからの利益によって決定され、2020年度の助成金は8240万ポンド(約124億4000万円)だった。

王室の支出は、年々増加している。毎年公開される財務報告書によると、2012年度(3月末まで)には3240万ポンドだった年間支出は、2017年度には4190万ポンド、2019年度には6700万ポンド、さらに翌2020年度には6940万ポンドに増えている。

王室の支出が増加している大きな理由の一つは、10年をかけて行われているバッキンガム宮殿の改修工事だ。1950年代以降に整備された電気、暖房、水道などの設備の修繕には、アスベストの除去なども含まれる。

編集=木内涼子

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