英国のデジタル・文化・メディア・スポーツ相のオリバー・ダウデンは、日曜紙のザ・メール・オン・サンデーの記事で、「ザ・クラウン」で描かれた出来事の多くが事実に基づいたものだと認めつつも、製作者らは王室メンバーや、マーガレット・サッチャー元首相らのプライベートな出来事を描く際に、独自の主観で創造した表現を加えたことを明示すべきだと述べた。
「ネットフリックスは、ドラマの冒頭でこの作品がフィクションであることを、きちんと開示すべきだ」と彼は発言した。
記事によるとダウデンは、ネットフリックスに対し正式な書面を送り、ドラマの各エピソードの冒頭に注意書きを加えるように要請する見通しだという。ソーシャルメディア上では、さっそくダウデンの発言に対する反発が起こったが、約2週間前にドラマの最新シリーズが公開されて以降、「ザ・クラウン」対する様々な批判が噴出している。
ダイアナ元妃の弟チャールズ・スペンサーは先週、英国のITVの取材で、このドラマには警告を添えるべきだと述べ、「アメリカ人たちはこの作品で歴史を学んだかのように錯覚している。ここで描かれた出来事は事実ではない」と話した。
バッキンガム宮殿の報道官を務めたDickie ArbiterもBBCの取材で、チャールズ皇太子とダイアナ元妃らが、ドラマ内で中傷されていると述べ、製作者らを批判した。
「ザ・クラウン」の原作・脚本を担当したピーター・モーガンは2017年のインタビューで、「私たちは最善を尽くしているが、事実を組み合わせる場合もある。時として正確さの点で妥協する場合もあるが、真実を捨ててはならない」と述べていた。
英国メディアの報道によると、1981年にウィンザー家に嫁いだダイアナ妃が直面した試練に関するドラマでの描写が、王室や特に王位継承者であるチャールズ皇太子と彼の現在の妻のカミラに対する世間のイメージを損なう懸念があるという。
シーズン4では皇太子とダイアナ元妃の双方が、結婚の直後から不倫を行っていたように描かれているが、チャールズ皇太子は1994年のインタビューで、彼の不倫が始まったのは、ダイアナ妃との関係が「取り返しのつかないほど崩壊した」後のことだったと述べていた。
ダイアナ元妃は、チャールズ皇太子と離婚し1997年のパリの交通事故で悲劇的な死を遂げた後も、世界中で熱狂的な人気を保っているが、チャールズとカミラは、今でもオンライン上で批判を浴びており、ドラマを観た若い世代がそこに加わっている。
ドラマのファンたちが、王室の公式アカウントを荒らし、カミラの姿を収めたインスタグラムの投稿に、親ダイアナのコメントを残すようなケースも相次いでいる。