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二宮英樹氏。23歳で大塚製薬に派遣社員として入り、ヘルプデスクに配属された。そこから10年間、試行錯誤を続けながら働き、34歳で大塚グループの最年少執行役員になった。

大塚製薬は誰もが知る大手製薬企業である。東大をはじめとする有名国立大や早慶、あるいは名だたる海外の大学からの新卒が数百倍の競争率を勝ち取って入社してくる。だが、二宮氏は短大卒。本来なら小学生が横綱に喧嘩を売るような状況だった。

だが結果として、彼らとはまったく別のルートで信じられない抜擢が続いた。その理由は何だったのか。

二宮氏によれば、「勝因」は、自分の得意分野を極めたこと(できれば一つではなく2つ以上)、その力を最も効果的に発揮できる抜け道(ループホール)を戦略的に選んだこと、そして期待に応えるために全力で取り組んだこと、だった。

二宮氏が自身の経験を書いた著書『派遣で入った僕が、34歳で巨大グループ企業の役員になった小さな成功法則』(ダイヤモンド社)から以下、抜粋して紹介する。


〝同調〞しているように見せて相手を説得する技術


日本は村社会だ。うまく意見が合わない同僚や上司がいても、意見の違いに対して真っ向から対立するのは得策ではない。まずは、〝同調”から入るといい。僕が仕事をしていく上で習得したのは、次のような交渉術だ。

上司:「二宮くん、その統合の方針はいいんだけど、メリットは何なの? 今やる意味あるの? 日本で事例あるの?」

自分:「残念ですが、日本では事例はないです。確かに〇〇さんが言われるように(無理やり同調に持っていく)僕も今すぐにとは思っていません。ただし海外はこれが主流になっているので、日本でも前もって考えたり準備したりしておいた方が良いと思いまして(で止める)。逆に現状だと、どこまでやっておくことが良いと思いますか(と質問返し)?」

上司:「今だとまぁ、インフラと業務システムが疎結合になるような構成を考えておいた方が良いよ(と、アドバイスを引き出す)」

自分:「であれば、さっきの案をちょっと〇〇さんの意見を参考に段階的に考えてみます(と、追加同調+案件を上長や意見の違う同僚のアドバイスに同化させる)」

次に持っていく時、最終案は若干しか修正していないが、彼らの意見が反映された内容にしておく。そうするとかなりの確率で話は前に進む。

日本は「プロセス」を重んじる社会だ。要するに村の主とか権力者を押さえておけば、あらかた通る。それと同じで、村の同調・同化原理を使って、あたかも彼らの意見が反映されているかのように話を進められれば、万事うまく転がり始める。実はこのテクニック、うまくやれるようになると、常にソリが合わない人たちでも、味方にしていくことができる技術でもある。

苦手だからと言って、敵対していれば、その人の優秀な力は借りることはできない。高い戦闘力を有する身近な人とも社内で戦い続けなければならない。

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