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昨年はヘルスケア分野のスタートアップの資金調達額が、記録的水準に達した一年となったが、投資家たちのこの分野への投資意欲は衰えを知らないようだ。サンフランシスコ本拠のヘルスケアに特化したビッグデータ企業「イノヴァッサー(Innovaccer)」は2月24日、1億500万ドル(約111億円)のシリーズDラウンドを実施し、評価額が13億ドルに達したとアナウンスした。

同社の累計調達額は2億2500万ドルに及んでいる。今回のラウンドはTiger Global の主導によるもので、既存出資元のB Capital GroupやSteadview Capital、マイクロソフトの投資部門のM12(旧称:Microsoft Ventures)も参加した。

イノヴァッサーは、医師が患者の全体像を把握することを妨げるデータのサイロ化を防ぐことで、ヘルスケア分野を効率化しようとしている。同社の集中化された情報ハブは、Epic や Cerner のような医療大手のデータベースや、検査ラボや保険会社などのデータを取り込むことが可能だ。

同社によると、これらのデータは、AI(人工知能)による予測の精度を向上させ、病気が慢性化する前に進行を阻止することを可能にするという。

イノヴァッサーはマイクロソフトやアマゾンに加え、医療機関との連携でも大きな成果を上げており、顧客にはBanner HealthやDignity Health、MercyOneなどが含まれている。同社は2400万人以上の人々の健康データを統合しており、これまで累計6億ドルの不必要な支出を防いだという。

イノヴァッサーの共同創業者でCEOのアブヒナブ・シャシャンク(Abhinav Shashank)は、「多くの人達が、ヘルスケア分野は外部のイノベーターの力によって破壊されるべきだと考えている」と話す。現在31歳のインド系移民の彼は、2017年のフォーブスの「30アンダー30」のアジア部門に選出されていた。「私たちは、ヘルスケア分野の変革につながるプラットフォームを提供する」

シャシャンク自身も、医学を学んだ経験を持たない自分が、ヘルスケア業界のアウトサイダーであることを認めている。イノヴァッサーは、彼とハーバード大学の仲間たちのデータ分析プロジェクトから、2014年に始動した企業だ。

Eコマースから医療分野にピボット


同社は当初、ヘッジファンドやEコマース企業が大量のデータセットをプールし、分析するオペレーションを支援していた。しかし、2017年になってヘルスケア分野が最大のチャンスを提供していることが明らかになり、成功するためにはこの業界に専念する必要があると考えた。

それ以来、イノヴァッサーはヘルスケアに専念し、「イノヴァッサー・ヘルス・クラウド」を含む一連のサービスを立ち上げた。同社は多額の資金を調達し、元Kaiser PermanenteのCTOのMike Suttenや、IBMヘルスケアのSean Hoganなどの注目度の高い人材を、継続的に採用してきた。

米国人のヘルスケア分野への支出額は、パンデミック前の2019年の時点で3.5兆ドル以上に達していた。イノヴァッサーと投資家たちは、同社のプラットフォームが、医療費を削減するための鍵になると確信している。

「このような巨額の支出にもかかわらず、医療データの使用やアクセスにはとてつもない非効率性があり、支払額の60%以上が無駄になっている」とB Capital のパートナーのRashmi Gopinathは述べている。

編集=上田裕資

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