深センに本拠を置く同社は2月23日、HarmonyOSで動作するアプリを開発するアジアのパートナー企業や開発者を支援するために、DigiX Labと呼ばれるラボを設置し、今後の2~3年間で4000万ドルを投じるとアナウンスした。
ファーウェイの独自OSのHarmonyOSは、米国政府が同社のグーグルのサービスへのアクセスを制限した後の2019年夏に発表された。同社の創業者の任正非は、米国の制裁措置は同社に300億ドルの打撃を与えることになると述べていた。
「このプロジェクトはファーウェイにとって最大規模のものであり、地政学的にも大きな意味を持つことになる」と、テクノロジーと政治に関する著作で知られるアビシュール・プラカシュ(Abishur Prakash)は話す。「シンガポールのラボで、アプリとモバイルサービスにフォーカスすることで、ファーウェイはHarmonyOSを成功させようとしている」
プラカシュによると、シンガポールはテクノロジーの地政学において「中立」で、東南アジア市場へのゲートウェイであるため、他の多くの中国のテック企業も拠点を置いているという。インドネシアやマレーシア、フィリピン、シンガポール、タイは、ファーウェイの開発者が最も多く登録されている国々となっている。
一部のファーウェイのデバイスは、既にHarmonyOSのみに対応しており、ユーザーは同社の独自アプリストアのAppGalleryからアプリをダウンロードする必要がある。調査企業カナリスのBen Stantonは、「ファーウェイは、巨大なマネタイズ機会をアプリに見込んでいる」と話す。
ただし、同社のアプリ事業の成功は、アジア諸国でのローカライズにかかっているとStantonは指摘する。各国の銀行や食料品店、政府機関などは、アップルやグーグルに加えて、ファーウェイ向けのアプリを作成し、更新するのを面倒に感じるかもしれないが、シンガポールのラボは、彼らを手助けする役割を果たすと彼は述べている。
「このラボは、現地の開発者をサポートすることで、より多くのアプリをファーウェイのプラットフォームに呼び込む役割を果たすことになる」と、IDCのデバイスリサーチ担当主任のBryan Maは述べた。「グーグルのサービスへのアクセスを失ったファーウェイは、より多くのアプリを取り込むことで、困難に立ち向かおうとしている」