ビジネス

2021.02.11 06:00

ドイツ銀行らが33億円出資のブロックチェーン企業Axoniの実力


社債発行プロセスを効率化


現状の社債発行プロセスでは、高コストで不必要な仲介業者が多く存在している。例えば、AT&Tが社債を発行する場合、希望する調達額と利率をブルームバーグのようなニュースワイヤーに掲載する。すると、ドイツ銀行やJPモルガンなどの営業チームが3時間ほどを費やして、ブラックロックやウェリントンなどのアセットマネージャーに電話で興味の有無を確認する。

連絡を受けたアセットマネージャーたちは、社内のファンドマネージャーに伝えて投資家のリストを作成し、ドイツ銀行やJPモルガンなどに電話で発注する。利回りや購入金額が正しく伝わっていなかったり、ファンドを売り過ぎてしまうといった事態が生じると、人力での高コストな調整作業が発生する。

Johnssonはこうした現状を、「地下鉄の乗客が、自動改札機にデビットカードを通して通過したいのに、コインで支払うことを求めているようなものだ」と説明する。Johnssonによると、社債を販売するのに要する時間を短縮し、手間や誤りを削減するため、3年前に銀行数社が共有プラットフォームを構築することを思い立ち、DirectBooksを設立し、彼は創設時の取締役を務めたという。

DirectBooksのチームは、いくつかの障害に直面し、問題解決のためにAxoniを雇った。ビットコインのようなシステムが販売後の社債をトラッキングするのに対し、Axoniが構築したのは、数多くの取引先企業が即座に連絡を取り合うことができるバックオフィス・プロセスだ。社債の販売は、これまで通り米国なら証券預託機関、欧州ならユーロクリアを通じて決済される。

「現状では、取引データを把握していない人が多く、非常に大きなリスクが存在している。我々は、コストとリスクの両面で効率性を格段に高めることが可能だ」と、AxoniのCEOである34歳のSchveyは話す。

DirectBooksとドイツ銀行、Axoniは、DirectBooksが扱っている社債の総額を明らかにしていないが、情報筋は、3億ドルの社債を週に3件程度扱っていると推測している。現段階で節約可能な金額を見積もることは困難だが、米国証券業金融市場協会によると、2019年の全世界における社債現存額は105.9兆ドルだったという。

「DirectBooksのプラットフォームには、業界大手の引受業者の大半が登録されている。そのリストを見れば、DirectBooksが提供する価値のスケールの大きさがわかるだろう」とSchveyは話す。Johnssonによると、個々の社債発行で節約できるコストは小さいかもしれないが、DirectBooksの所有企業を合計すれば莫大な金額になるという。

「我々にとって非常に大きな節約になる。関係する全ての銀行を合計すれば、莫大な金額になる」とJohnssonは言う。
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編集=上田裕資

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