国立公園を訪れる年間数億人の訪問客の多くは楽しい思い出とともに訪問を終えるが、一方で水難事故や転落、野生動物の襲撃による訪問者が死亡する人の数は想像以上に多い。米国立公園管理当局によると、1週間の死者数は平均6人だ。
新型コロナウイルス流行下での国立公園訪問者増加を受け、人身傷害を扱う法律事務所パニッシュ・シェイ&ボイルは、データ可視化企業の1ポイント21インタラクティブと提携し、米国立公園局(NPS)の2007年から18年までのデータを分析、訪問者が死亡する危険性が高い場所を特定した報告書を作成した。
報告書によると、死亡事故の可能性が最も高い米国立公園はワシントン州のノースカスケード国立公園。訪問者1000万人当たりの死亡者数は652.35人だ。
プロジェクトを率いたブライアン・ベルツは「ノースカスケード国立公園の訪問者数は上位の50国立公園の中で群を抜いて少ない。同公園は険しい山と氷河地域で構成されていて、道路や建物は非常に少ない」と指摘。死亡事故の大半は転落や環境的な要因によるものだったと説明した。
2番目に死亡率が高かったのはアラスカ州のデナリ国立公園で、訪問者1000万人あたりの死亡者数は100.50人だった。3位には、1000万人あたりの死亡者数が68.51人のアッパーデラウェア景観保養河川が続いた。
1ポイント21インタラクティブ社によると、米国の国立公園で過去12年間に死亡した人の数は2727人。訪問者1000万人当たりで平均8人となる。
ただ、死亡率で上位となった国立公園は、実際の死者数では上位に入っておらず、面積が大きくて訪問者が多い国立公園の方が死者数が多かった。調査期間中の死者数が100人を超えていた国立公園はミード湖国立保養地(201人)、ヨセミテ国立公園(133人)、グランドキャニオン国立公園(131人)、ナッチェス・トレース・パークウェイ(131人)の4つのみだ。
「こうした国立公園は死亡者数が多いものの、死亡率は他の公園より必ずしも高くはない」とベルツ。「これらは国内で特に訪問者数が多い国立公園だということを考慮すること。例えば、対象期間にミード湖を娯楽目的で訪れた人は8500万人以上だった」