私たちが運営するユナイテッド・ワールド・カレッジISAKジャパンでは、挑戦をする生徒の数や質に男女の差をほとんど感じることがないが、それは入学当初から、失敗は成功と同じくらい貴重な成長機会であることを話し、プロジェクトウィークやアウトドア教育を通じて、実践の場を多く用意していることに起因しているのかも知れない。
私が組織長をしているため、ロールモデルがいることが理由に挙がることもあるが、私はあくまでも理事会の長であり、裏方として学校経営を支える立場にしかない。生徒にとって学校のトップは校長(アフリカ系アメリカ人男性)である。
ロールモデルにたくさん会わせるようなプログラムもよく見かけるが、私は個人的には、成功しても失敗しても致命的なダメージを受けにくい若い頃から、たくさんの挑戦を経験することがより大切なのではないかと考えている。
今、日本に存在する女子校あるいは女子大、あるいは共学の学校を含めても、どれだけこれを実践できている学校があるだろうか。ここまで述べてきた理数系教育の強化、キャリア認識のアップデートに加えて、この質問への答えが、鍵を握っているように思えてならない。
昨年、教育界で独自の取り組みを展開する仲間たちと、教育現場から変革を起こすアントレプレナーを発掘する「Hatch Edu」という試みを立ち上げた。ジェンダーギャップ×教育を切り口に、近くワークショップを企画している。この課題についてより深掘りをしたい、ソリューションを一緒に考えたい、またはその実現のために行動したい、という皆様はぜひサイトを訪ねて頂きたい。
一人でも多くの皆さんと、この問題について議論するだけでなく、実際にインパクトあるプロジェクト形成ができるようになることを祈りつつ。
*前回と今回紹介した全てのデータは、Hatch Eduを共に手がけるリン・チェルシー真希さんが調査し、PISA2018のデータベースとレポートなどからまとめてくれたものである。
連載:日本と世界の「教育のこれから」
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