「ベンチャーってことで朝から晩まで会社で生活してるイメージがあるかも知れないですが(笑)、グーグルのように仕事環境に力を入れる会社が出てきて、人材の獲得競争をすることで、ここ十年くらいで急速にホワイト化しました。さらにコロナ禍で在宅勤務が推し進められたこともあって、家のことや副業などと両立できる職業に変化しています」
理数系が得意な女子生徒が、エキサイティングで、経済的にも自立でき、かつワークライフバランスも保てる職業として、エンジニアリングという職業が正しく認識されることが大切な気がした瞬間だった。
日本女子の実力とメンタリティ
キャリアに対する認識を変えるということは、学校においてもある程度できることかもしれない。また、女子生徒に理数系の科目強化や学部選択を促すということも一定の効果が見られそうだ。それ以外に何ができるのかを考えるときに、以下の2点が興味深い。
一つは、日本人女子の理数系能力は決して低くない、という事実だ。男子の平均点に比べると女子のそれが劣るとは言っても、日本人女子の数学PISA平均点も、世界的に見ればトップクラスであり、各国の男子平均よりも高い(ただし以下のチャートには、日本より得点の高い中国、マカオ、香港、台湾、シンガポールは含まれていないことに留意する必要がある。PISA参加国であるものの、OECDではないため)。
■が男子、◆が女子 出所:OECD Data “Mathematic Performance(PISA)2018”
もう一つが、その日本人女子が科目選択やキャリア選択で冒険できない理由は「fear of failure(失敗に対する恐怖心)」にあるのではないか、という推察だ。
日本は、OECD諸国の平均に比べると、この項目は男女ともに顕著に高いが、特に女子の「fear of failure」がトップクラスであることが見て取れる(日本以外の上位国に、台湾、マカオ、香港、シンガポールなど、アジア諸国が多いことも興味深い)。
■が男子、◆が女子 出所:OECD “PISA2018(Volume ll):Where All Students Can Succeed”
これは非常に根が深い問題であり、「失敗を恐れなくてもいいんだよ」と女子に言い聞かせれば恐怖心がなくなるというものでもない。