ゴールドとの比較
ビットコインとの比較に有用なのは金(ゴールド)だ。金もビットコインも、生産的資産(利益とキャッシュフローを生み出す資産)ではない。どちらも希少価値がある。どちらも潜在的な交換媒体であり、価値を蓄える手段だ。
実際、ビットコインは金よりも優れた交換媒体であるとの主張もある。投資家は金を、まるで保険のように保有する。インフレが激化し混乱が起こった時のために、金を持っておくのはいいことだ、と。同じことがビットコインにもいえるだろう。
もちろん、金の欠点も、ビットコインにあてはまる。金は本質的に何かをするわけでも、何かを稼ぎ出すわけでもない。農場を保有していれば、牛乳や作物や牛という形で、時とともに資産が生み出される。農業は何世紀にもわたって富をつくりだしてきたので、農場には価値がある。たとえ、市場が認める農場の価値が農場主の思っていたものと違ったとしても、農場から収入を得ることはできる。企業や債権もこれと同じだ。基本的に、何らかの形で収入をもたらしている資産は、当然ならが価値を評価しやすいし、ほかの資産との比較も容易だ。
金やビットコインには、これがあてはまらない。これらの価値は、ほかの誰かの支払い意思のみに左右されるため、必然的に、より投機的な投資になる。
相対評価
では、金と比較した場合のビットコインの位置付けは? 現在、ビットコインの時価総額は約5000億ドル(約52兆円)で、サムスンやフェイスブックといった企業の時価総額にほぼ匹敵する。これは世界のすべての銀の価値のおよそ半分、すべての金の推定価値の約5%に相当する。
そんなわけで、ビットコインが金に取って代わるのは、まだまだ先の話になりそうだ。また、金は何世紀も前から存在するが、ビットコインはたかだか10年ほど前に登場したばかりであることも忘れてはいけない。
ビットコインについてわかっていることがひとつあるとすればそれは、価値を評価するのが難しいゆえに、大幅な価格変動が予想されるということだ。それは明らかに諸刃の剣だ。つい最近も経験したように。