スクエアは10月8日朝に、約4709ビットコインを5000万ドル(約53億円)で購入したと発表した。同社は3ページにわたるホワイトペーパーの中で、取引の詳細や、購入したコインの保管方法、財務報告書への記載方法などについて説明した。
スクエアの株式は、この発表を受けて前日を1.6%上回る価格で取り引きされた。2015年の後半に上場を果たしたスクエアの株価は2020年だけで3倍近く急騰し、史上最高値を更新している。
同社は2018年1月に、正式にビットコイン分野での取り組みを開始し、ほぼ全ての顧客らが決済アプリ「Cash App」の中で、ビットコインの売買が出来るようにしていた。
スクエアは6月30日時点で20億ドル近くの手元現金を保有しており、今回の投資額はその約2.5%を占めることになる。
ビットコインの価格は10月8日午前10時45分時点で約10870ドルで、過去24時間で2.3%上昇しているが、今週は火曜日に急落して以降、ほぼ横ばいだった。
ビットコイン投資信託のGrayscale Bitcoin Trustによると、機関投資家らはビットコインに巨額の投資を行っている。2020年の上半期を通じ、1000万ドルから50億ドル以上の資産を持つ20以上の金融機関がビットコインを所有していた模様だ。
上場企業の中でスクエアは、ビットコイン向けの投資を発表した最初の企業のうちの1社となっている。Eコマース業界からこの分野に参入した取引所運営者のOverstockは、2017年からブロックチェーン技術の研究を開始し、2019年1月には米国の大手企業としては初めて、ビットコインで納税を行うと宣言していた。
さらにVisaやペイパルなども暗号通貨を用いた支払いサービスや、この分野での大規模な提携に乗り出している。
2017年後半にはビットコインの人気が爆発的に高まり、ピーク時の価格は1万9783ドルにまで上昇した。背景にはコインベースなどの取引所がビットコインの取り引きを容易にし、大手企業での採用が相次いだことがあげられた。
ただし、バブルは長続きせず、その翌年の2018年末までにビットコインの価格は80%も暴落していた。しかし、今年に入りビットコインの価格は再び50%以上も上昇し、ピーク時の6割程度の価格にまで戻している。
個人の未来を確保するためのツール
「クリプトカレンシーの急速な進化と、マクロ経済と通貨体制における前例のない不確実性を考えると、我々は今こそ、ドルが大半を占める当社のバランスシートを拡大し、ビットコインへの有意義な投資を行うべき時期であると考えている」と、スクエアは8日に公開したホワイトペーパーで述べた。
「私たちは、ビットコインを世界経済のエンパワーメントの手段として捉えている。それは、世界中の個人がグローバルな通貨システムに参加し、自分自身の財政上の未来を確保するための手段だ」と彼らは宣言した。
ジャック・ドーシーは以前から、ビットコインの熱烈な支持者として知られている。彼は先週のツイートで次のように述べていた。「ビットコイン(クリプトとも呼ばれる)は、社会にネガティブな影響をもたらす、検証が不可能で排他的な金融システムに対抗する、ダイレクトな行動主義だ。重要なのはその存在を認識し、顧客が日常的に直面する課題と結びつけていくことだ」