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Matthew Horwood/Getty Images

フランス政府の独立諮問機関である気候高等評議会(HCC)は、第5世代移動通信システム(5G)が広く設置されれば、温室効果ガスの排出量が今後10年間で増える可能性が高いと警鐘を鳴らした。

仏上院が気候高等評議会に委託したこの報告書からは、フランスで5Gが導入されると、その影響は2030年には二酸化炭素換算270万~670万トンになる可能性があると示された。これは、テック分野の現時点での環境への総合的な影響(二酸化炭素換算で約1500万トン)と比べると顕著な増加だ。

影響の大部分は、5Gのインフラを構成する多くの部品や5Gを使用するための新たな機器の製造によるものだ。こうした機器に使用される原材料は採掘が必要となり、それによりこうしたガスの排出量が増える。

これまでのところ、5Gの電波塔設置に反対する声の多くは健康への害を根拠としたものだ。5G反対派は、電波が人間に害を与えているという根拠のない主張を繰り広げている。インターネット上の陰謀説の中には、5Gが新型コロナウイルス感染症のパンデミック(世界的大流行)を引き起こしていると主張するものもあるが、ここでも証拠は何も提示されていない。

5Gはフランスで非常に大きな議論を呼んでおり、仏議会の極左と緑の党の国会議員らが昨年9月に5G導入の一時停止を要請したほどだ。今回の上院の報告書は、5G反対派の立場を強化する試みだ。

エマニュエル・マクロン仏大統領はこれに対し、5Gを導入する確約を改めて強調し、反対者は「アーミッシュ(米国を中心に居住し、自動車や電気などを使わず自給自足の生活をする人たち)を模範とした」生活に同意しているも同然だと述べた。マクロンは、パリで行われたテック系イベントで昨年9月、「私たちは全ての誤った考えに終止符を打つため説明・議論を行うが、フランスは5Gへの移行を実現する」と述べた。

気候高等評議会の報告書には、5Gが導入されるかどうかにかかわらず生じる可能性がある温室効果ガスの排出量も含まれており、大きく見積もられているとの批判もある。同報告書では5Gに対応した新たなスマートフォンの製造に加え、通信インフラやデータセンターの建設により発生する温室効果ガスの排出量も計算に入れられている。また、インターネットの通信速度が上がることでネットの使用量が増えると仮定し、予想される電気消費量の増加分も考慮されている。

翻訳・編集=出田静

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