AIでプライマリケアを変革、オンライン診療支援のCuraiが28億円調達

Luis Alvarez / by Getty Images

オンライン診療は医師の診察を受けやすくするけれど、必ずしも医師を生産的にするわけではない。遠隔から患者を診察するには、いまだにかなりの時間がかかり、電子健康医療記録(EHR)にデータを入力する必要もあるからだ。

こうした現状を変えるべく、ニール・コースラは、人工知能(AI)を活用してプライマリケア(一次医療)の質を大幅に向上させ、オンライン診療を医師と患者の両方にとってより良いものにしたいと考えている。

「AIはスーパーパワー(途方もなく大きな力)になり得ると考えています。それによって、医療コストを下げることもできるでしょう」とコースラ。彼が共同で創業したサンフランシスコのスタートアップ、キュライ(Curai)は今月16日、シリーズBの資金調達ラウンドで2750万ドル(約28億4000万円)を調達したと発表した。

キュライは、チャットベースのオンライン診療プラットフォームを開発した。そこでは、AIが患者ケアチームのいわばバーチャルメンバーとして人間のメンバー(医師と臨床アシスタント)に協力し、彼らがより的確で迅速な判断を下せる手助けをする。

「結局、テクノロジーはそれ単独では役に立たないんです。テクノロジーは人間の作業に組み込む必要があります。また、そうすることで人々の働き方も変わってくるはずです」(コースラ)

彼の姓には聞きおぼえがあるかもしれない。そう、コースラはビリオネアの投資家、ビノッド・コースラの息子なのだ。ビノッドの投資会社、コースラ・ベンチャーズもキュライに出資している。今回の資金調達ラウンドはモーニングサイド・グループが主導し、コースラ・ベンチャーズやゼネラル・カタリストが参加した。

新型コロナウイルスのパンデミック(世界的流行)によって、米国ではオンライン診療の導入が一気に広がり、業界関係者からは歴史的な勝利ともてはやされた。

それと同時に、米国の医療制度がこれまで、鈍重で変化を嫌いがちだったことも浮き彫りになった。
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編集=江戸伸禎

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