一方で、これらの企業の中には収益基盤がまだ脆弱な企業も少なくなく、問題点も指摘されている。しかし、ビリオネアのピーター・ティールは、SPAC上場がもたらした大きな変革を歓迎している。
「SPAC上場を果たした企業の中には評価額が高騰し、実力が追いつくのに何年も掛かるものもある。しかし、新型コロナウイルがもたらした危機により、我々は大きな転換期に直面しており、今こそが21世紀の本当の始まりだと私は考えている。今、ようやくニューエコノミーがオールドエコノミーに取って代わるとしている」とティールは話す。
ティール自身、SPAC上場を果たしたLiDARスタートアップ「ルミナー・テクノロジーズ(Luminar Technologies)」を支援している。同社は、12月3日に「LAZR」のティッカーでナスダック市場に上場した。創業者は、フォーブスの30アンダー30に選出されたこともある光学の天才、オースティン・ラッセルで、本社はカリフォルニア州パロアルトにある。
ルミナーは、SPACのGores Metropoulosとの合併により6億ドルの資金を調達し、IPO前の推定評価額は34億ドルに達した。これにより、25歳のラッセルは、世界最年少のセルフメイドビリオネア(自力でビリオネアになった人)となった。
投資家は、第2、第3のテスラを夢見て、これらの企業に出資しているが、テスラと同様にこれらの企業も、当面の間は赤字経営が続きそうだ。しかし、SPAC経由の方が、従来型のIPOに比べて早く上場を果たすことが可能だ。スタートアップ企業は、ペーパーカンパニーであるSPACと合併するだけで済み、引受手数料やリーガル・コストはSPACのスポンサーが既に支払っているため、IPO費用を安く抑えることもできる。