ビジネス

2021.01.01

ピーター・ティールの2021年予想、「SPACブームはまだ続く」

ピーター・ティール(Photo by John Lamparski/Getty Images)


ニコラも時価総額70億ドルを維持


一方で、物議を醸した水素燃料電池トラックメーカー「ニコラ」のSPAC上場も、新世代の無公害車メーカーに教訓を残す事例となった。同社は、2020年6月にSPACとの合併によりIPOを果たすと、株価は急上昇した。9月にGMとの提携の可能性が報じられると、株価はさらに急騰した。

しかし、同月にアナリストがニコラの創業者で前エグゼクティブ・チェアマンであるトレバー・ミルトンが自社技術について虚偽の説明をしたと告発すると、株価は一気に暴落した。GMは、11月30日にニコラとの資本提携を撤回したが、ニコラ製の燃料電池とバッテリーの自社製トラックへの搭載は引き続き検討するとしている。

これらの問題に直面しながらも、ニコラの時価総額はまだ70億ドル台を維持している。同社は、来年EVトラックの生産を開始すると述べている。

自動車デザイナーのヘンリック・フィスカーも、SPAC上場の恩恵を受けた1人だ。フィスカーは、EVメーカーを2013年に一度倒産させている。彼が新たに設立したFisker Inc.は、マグナと共同でスタイリッシュな電動SUVの開発をしており、2022年に発売開始を予定している。

他にも、英国のEVメーカーで急成長中のアライバル(Arrival)や、Hyliion、カヌー(Canoo)、Lordstown Motors、Lion ElectricなどもSPAC経由で上場を果たした。ニコラの大型トラック向けにリチウムイオンバッテリーを開発しているロサンゼルス本拠のバッテリーメーカー「Romeo Power」もSPAC上場を計画している。
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編集=上田裕資

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