これを聞いて、「絵心がない自分には無理」と思う人もいるだろう。答えは「否」だ。一見、複雑な模様が絡み合い、いかにもアーティスティックな才能を必要としそうなゼンタングルだが、実際には単純なパターンを組み合わせていくだけなので、誰でも簡単に美しい絵を描くことができる。
ゼンタングルのやり方
実際に、絵心という言葉とは無縁の、簡単な落書き程度の画力しか持たない筆者が、ゼンタングルに挑戦してみた。
筆者が実際に取り組んだゼンタングルのパターン
このように、単純なパターンを繰り返し描いていく。その過程を砕いて見てみると、ゼンタングルというアートが単純かつ、連続したものの集まりでできているということがよく分かる。もちろん、上級者向けではもっと緻密で繊細なものもあるが、基本は同じタングルを繰り返し描いていき、それらを組み合わせることでひとつのアートが完成する。
実際に取り組んでみてわかったことは、多少パターンがずれたり歪んでしまったとしても、完成したときにはある程度「それっぽい」仕上がりになっているので、あまり緻密に心を砕く必要はない、ということだ。
また、描いていく過程では、瞑想のときに感じていたような「早く集中しなければ」という、集中できないことへのイラ立ちや焦りを覚えることはなかった。一定の動作をしているうち、確かに自然とその行為だけに意識が集中していくのだ。そしてなにより、楽しい。
ちなみにさらに多くのパターンを習得し上級者になると、下の例のような本格的な作品を作ることも可能だ。
shutterstock.com
本当に精神安定の効果はあるのか?
2004年に米国で誕生し、今や世界中で人気を集めているゼンタングルだが、最近では日本でも書店などでゼンタングルに関する本をよく目にするようになった。その多くは、ここ数年、マインドフルネスのトレンドとして定着しつつある「大人の塗り絵」本の横に並べられている。
「大人の塗り絵」は、大人向けに精密なイラストが描かれた、絵が苦手な人でも楽しめる塗り絵のことだ。これも、「塗る」という行為に集中することで、自律神経のバランスが整いやすくなり、ストレスの軽減やリラックス効果が期待される、マインドフルネスの手法の一つである。