単独親権のデメリット? 「面会交流」が実施されないことも
共同親権とは、「子に対する親権を父母の双方が持っていること」又は「父母が共同し、合意に基づいて子に対し親権を行うこと」を指します。
日本が採用している「単独親権制度」では、どちらか一方が親権を持ち、他方は面会交流や養育費について取り決めた内容に従い、養育の義務を果たすこととなっています。
とは言え、現実には、親権を取れなかった側の親は子どもとのつながりが薄れていき、面会交流が実施されずに親子の交流が絶たれるケースが多く、養育費不払いの原因の一つとなっているとも指摘されています。
実務的にも、このようなケースは非常に多く、単独親権制度の限界だと言わざるを得ません。
一方で、離婚後も一緒に子供を養育する「共同親権制度」であれば、この問題を解決する一助となる可能性が高いため法改正への期待が高まっており、前述の訴訟もこの流れの一環ではないかと推測されます。
「共同親権制度」、養育する権利は片方に
共同親権においては、子供を養育する権利を両方の親が共有します。
具体的な内容については各国の法律によって異なっており、共同親権をどのように行使するかも個々の事案により変わってきます。
例えば、養育に関する意思決定を双方の親がその都度協議して進める方法もあれば、タイムスケジュールを決めて養育自体を分担する方法もあるのです。
タイムスケジュールを決めるケースでは、1週間、1カ月というような単位で子供が父母の家を行き来する方法や、平日は一方の親の元に住み週末は他方の親の元に住む方法などが用いられています。
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法務省の調査によれば、インドおよびトルコでは日本と同様離婚後は単独親権のみが認められていますが、その他の多くの国では単独親権だけでなく共同親権も認められているとのことです。
運用には国ごとに差異があり、
・裁判所の判断等がない限り原則として共同親権としている国:ドイツ、オーストラリアなど
・父母の協議により単独親権とすることもできる国:カナダのブリティッシュコロンビア州
・父母のいずれもが、それぞれの親権を単独で行使することができる国:イギリスのイングランドおよびウェールズ、南アフリカ
などと判断が分かれています。
なお共同親権制度を採用している国は以下です。
アメリカ(ニューヨーク州、ワシントンDC)、カナダ(ケベック州、ブリティッシュコロンビア州)、アルゼンチン、ブラジル、メキシコ、インドネシア、韓国、タイ、中国、フィリピン、イタリア、イギリス(イングランド及びウェールズ)、オランダ、スイス、スウェーデン、スペイン、ドイツ、フランス、ロシア、オーストラリア、サウジアラビア、南アフリカ
※参考元:離婚後の共同親権について― 離婚後の子の養育の現状と共同親権に関する議論 ―参議院常任委員会調査室・特別調査室