読み聞かせは早くから遅くまで
アメリカでは、読み聞かせをする親は、はっきりと「絵本はことばを教える教材である」と考えています。
読み聞かせを開始する時期も異なります。私が3歳児の母親および、5歳児の母親に行ったアンケートでは表のような結果となりました。
これを見ると、日本の母親は赤ちゃんがことばを発するようになるころから読み聞かせをはじめたと答えたのに対し、アメリカの母親は、それより1年ほどはやく読み聞かせをはじめていることがわかります。
ダイアロジック・リーディングという手法は、はじめて絵本を読むときからはじめるのがおすすめです。とはいえ、「うちの子はもう小学生だから遅いか……」と諦める必要はありません。
逆に、大きくなっても、子どもが自分の力で本を「深く読める」ようになるまで、「読み聞かせ」をしてあげてください。
「深く読める」とは、ひらがなや漢字を覚えて「文字が読めるようになる」という意味ではありません。
表面的に文字や文章を追うことができても、考える力を駆使してその意味を正しく理解できていなくては「読んでいる」とは言えないからです。
子どもが自分で本を深く読めるようになるためには、読み方のお手本が必要となります。その意味で、子どもがどのように本を読み、内容をどう解釈すればいいのかを学べる読み聞かせ方法が、ダイアロジック・リーディングだと言えるでしょう。
アメリカでは小学生でも親と一緒に本を読む
日本では小学校に上がる前後、おおむね5〜6歳くらいで、徐々に読み聞かせを「卒業」するのが一般的です。しかし、小学校に上がってからも、できるだけ長く続けるようにしてください。
小学校のカリキュラムで、子どもの読解力やクリティカル・シンキング(批判的思考)を強化する機会が滅多にないことを考えると、小学校入学前後で読み聞かせをやめてしまうのははやすぎると思います。
アメリカでは小学生になっても親と一緒に本を読むことはよく行われています。絵本では物足りない学年になると、『ハリー・ポッター』シリーズのようなボリュームのある物語を親子で毎日、少しずつ読み進めていくのです(親が読み聞かせることもありますし、子どもと交代で読むこともあります)。
文量の多い本に移行すればするほど話に集中する必要が出てきますので、そこで交わされる対話の頻度は減るかもしれません。
しかし、なんらかの形で一緒に本を読む習慣が続いていれば、たとえばひと晩ごと、1節ごと、もしくは1章ごとに、本の内容について子どもとやりとりすることができます。
これによって、はたしてその子は正しく読めているのか、きちんと読解力が育っているのかをたしかめることができるわけです。