アメリカの親が10歳まで読み聞かせを続けるわけ

fizkes/Shutterstock.com


基本的な3つの問いかけ


「どんな問いかけをしたらいいか、難しい」という方のために、PEERシーケンスの内容を分解した7つの具体的な問いかけの中から、基本的な3つをご紹介しましょう。

1. 「何質問」のやりとり
「何」「どこ」「いつ」「なぜ」「どのように」といった質問(これらをまとめて「何質問」と呼びましょう)を使ったやりとりです。「これは何色?」「このたまごは誰のかな?」「どうすれば扉が開くかな?」「何をしている?」など、このような、5W1H を問う「何質問」を、絵本の絵や話の展開に着目して使ってみましょう。

たとえば、絵本のなかのあるものを指して、「これは何?」と質問してみるのです。この種の質問は、子どもに新しい語彙を学ばせるうえで有効です。「これは何?」「ブタさん」「ブタさんたちは何してる?」というように、「何質問」をつなげていくこともできます。

「何質問」は、内容しだいで難易度が大きく変わります。ですから、子どもの年齢や知識、理解度に応じて使い分けるよう意識しましょう。

2. 「何質問」に対する子どもの答えの拡張
「何質問」で子どもが答えたものについて、より具体的に質問をします。たとえば、「これは何?」と聞いて、子どもが「わんわん」と答えたとしたら、さらに「わんわんの色は何色?」と聞いてみます。

3. 子どもの答えの反復
ただ子どもの答えをリピートするだけでも、子どもの発話を促す効果があります。
「これは何?」「にゃんにゃん」「そう、にゃんにゃんね」というように、読み手が認めてあげることで、子どもは自分の答えが受け入れられたことがわかるからです。

以上、ごく一部ですが、ダイアロジック・リーディングのメソッドをご紹介しました。

このメソッドを、「思考力」「読解力」「伝える力」を育むための選択肢のひとつとして取り入れていただければ、絵本の新たな魅力や楽しみ方を発見していただけるはずです。ぜひ、今から取り組んでみてください。

思考力・読解力・伝える力が伸びる ハーバードで学んだ最高の読み聞かせ
加藤 映子/著
null

加藤映子◎大阪女学院大学・短期大学学長/大阪女学院大学国際・英語学部教授。Ed.D(教育学博士)。ボストン大学を経て、ハーバード大学教育学大学院(教育学修士・博士)に入学。同校で、本書のテーマである「ダイアロジック・リーディング」に出合い、研究を重ねる。専門分野は「言語習得」と「最新テクノロジーを活用する教育」。現在は、「子どもとことば」「絵本を通してのことばの発達」を研究課題としており、絵本の読み聞かせにおける母子のやりとりや読み書き能力の発達に関する親の意識調査などを行う。

『思考力・読解力・伝える力が伸びる ハーバードで学んだ最高の読み聞かせ』(かんき出版)より

ForbesBrandVoice

人気記事