小さいうちから取り組むことが推奨されているが、小学生でも遅くないというのは、ハーバード大学で「子どもとことば」を研究してきた加藤映子氏だ。小学生でも親子で読み聞かせの時間を持つべきだというそのわけを聞いた。
読み聞かせ中はうるさいくらいに対話する
インターネットやメディアを通じて、大量の情報が入ってくる時代に求められるのは、情報の真偽を判断できる力や、自分にとって必要な情報を選びとる力です。
「ネットやテレビではこう言っているけれど本当なのだろうか?」「先生の言っていることは本当に正しいのかな?」「この情報は自分にとって役に立つものなのか?」と自分自身で考える力です。
もちろん、その考えを相手に論理立てて主張する力も重要です。
「自分の頭で考える力」そして「自分の考えを相手に伝える力」、そういったこれからの時代にさらに必要となる力を養うことができるのが、アメリカで生まれの絵本読み聞かせメソッドである「ダイアロジック・リーディング(Dialogic Reading)」です。
日本の“読み聞かせ”というと、親は絵本の文章をひたすら読んでいき、子どもはそれを黙って聞いている。どちらも何かを問いかけたり、口を挟んだりといったことがほとんどないのが一般的です。
一方、アメリカの親子の読み聞かせはどうかというと、アメリカの子どもたちは読み聞かせの最中にうるさいくらいしゃべります。
「どうしてカボチャが大きくなると小鳥が大きくなるの?」「どうして凧が空を飛んだら、クマくんが空を飛んだことになるの?」
また、読み聞かせをする保護者や保育者は、子どもたちの発言を促すためにさまざまな問いかけをし、対話をします。
対話をしながらの読み聞かせは、ただ一方的に話を聞くよりも、「自分で考える力(思考力)」「自分の意見を言う力(伝える力)」「読解力(文章の内容を深く理解する力)」といった力が飛躍的に高まることが研究によってわかっています。
ダイアロジック・リーディングは、この対話をしながらの読み聞かせの手法をメソッド化したものです。