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2020.11.17

「返品ビジネス」米で活況 フェデックス、スタートアップと組み参戦

Rob Kim / by Getty Images

米物流大手のフェデックスは返品代行の米スタートアップ、ハッピー・リターンズ(Happy Returns)と組み、返送受け付けサービスを拡充した。米国内の営業所「フェデックス・オフィス」2000カ所に、参加する小売企業150社の返品のドロップオフ(引き取り)ポイントを設けた。米国では手軽に返品できるアマゾンのサービスに触発され、返品ビジネスが活況を呈している。

フェデックスは10月末からハッピー・リターンズとの提携事業を始めた。繁忙期となる年末のホリデーシーズンには、返送される商品も大量に生まれるとみられている。

参加しているブランドの商品を返送したい人は、オンラインで返品手続きをしたあと、フェデックス・オフィスに商品を持ち込み、スマートフォンでQRコードを提示するだけでよい。箱も梱包作業も不要で、すぐに返金してもらえる。

フェデックスのグローバル電子商取引マーケティング担当副社長、ライアン・ケリーは、返品プロセスでは多くの摩擦が起きているとしたうえで、「ハッピー・リターンズはじつに洗練された、摩擦のないプロセスを提供している」と高く評価する。

2015年にハッピー・リターンズを共同で創業したデイヴィッド・ソビー最高経営責任者(CEO)は「アマゾンが返品とはこういうものだと顧客を教育している」と述べ、オンラインショッピング事業では無料配送に続いて、手軽な返品も最低限必要なものになってきていると説明する。

そのアマゾンは自社配送を強化しており、フェデックスとは昨年、期限を迎えた配送契約2件を更新せず、パートナー関係を事実上終了している。フェデックスはこれにより、約9億ドル(約940億円)のビジネスを失った。

アマゾンも物流大手UPSの拠点や百貨店のコールズ、傘下の高級スーパー、ホールフーズで、箱やラベル不要の返品を受け付けている。

ソビーによると、ハッピー・リターンズはフェデックスとの提携により、箱不要のドロップオフポイントが全米で計2600カ所に増えた。アマゾンの約7500カ所に次ぐ2番目に大きな返品ネットワークだという。

ソビーは、ハッピー・リターンズの技術を活用して複数の小売企業の商品返送を一括して行うようにすることで、返品コストを最低10%削減することをめざしている。オンラインショッピングの返品率は実店舗の3倍の30%にのぼるとされ、小売企業は一括返送の利用によって大きなコスト削減が見込める。

米オフィス用品販売大手のステープルズも今年1月、返品技術を手がける米スタートアップ、Optoro(オプトロ)と提携し、1000あまりの自社店舗でオプトロ参加企業の返品の受け付けを始めている。

編集=江戸伸禎

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