フェイスブックが10月29日に開示した第3四半期の売上は、前年同期比22%増の214億7000万ドル(約2兆2450億円)で、アナリスト予想の198億ドルを大きく上回った。純利益も前年同期比29%増の78億ドルだった。
ここから見えてくるのは、フェイスブックが企業の出稿先としていかに重要であるかだ。同社の広告プラットフォームの重要性は、パンデミックを受けてさらに高まっており、米国の企業はその規模に関わらず、そこに出稿をせざるを得ないのだ。
ソーシャルメディア上で、社会正義を訴えるムーブメントが拡大しても、時価総額が7000億ドルを超えるフェイスブックに打撃を与えることは難しかった。
NAACP(全米黒人地位向上協会)などの団体は、フェイスブックがヘイトスピーチの投稿を容認しているとして、#StopHateforProfits(ヘイトで利益をあげる行為を禁止せよ)とのハッシュタグで広告ボイコットを呼びかけ、最初のうちは複数の有名企業がこれに賛同した。しかし、この運動に対する人々の興味は長続きしなかった。
ザッカーバーグは一部報道によると、自社のスタンスを変える必要は無いと社員らに伝え、抗議運動には屈しないと宣言したという。その数カ月後になってフェイスブックは、ホロコーストを否定する言論を公式に禁止したり、選挙の1週間前に新たな政治広告を出稿する行為を禁止したり、投票に関する情報の配信に努めたりと、いくつかの改善策を打ち出した。
今後、仮にフェイスブックに対する別の動きが勃発したとしても、同社はそこから生じる打撃を回避するはずだ。ソーシャルメディアの巨人であるフェイスブックは今や、広告業界において揺るぎないポジションを獲得している。
同社の売上の大半は、雑多な中小企業の出稿から生み出されており、広告出稿額のトップ100社からの売上の合計は、全体のわずか6%程度だ。つまり、中小企業らは好むと好まざるとにかかわらずフェイスブックに出稿するしかないのが現状なのだ。
ザッカーバーグの保有資産は現在、1030億ドル(約10兆770億円)に達している。広告ボイコット騒動が、人々の記憶から薄れていく中で、フェイスブックの業績拡大は今後も続いていきそうだ。